私立小学校に編転入させたいと考える親の気持ち
私立小学校への編転入試験は狭き門で、子供だけではなく親にとっても容易に受けられる試験ではありません。それでも私立小学校への編転入を希望するのはどういった事情を抱えるご家庭なのでしょうか。私立小学校に我が子を編入させたいと考える保護者の気持ちを具体的にご紹介します。
「小中高一貫校で10代を受験に縛られずに過ごさせたい」
10代の学生時代というのは、心も体も飛躍的に成長する時期です。10代で経験するあらゆることが子供の人格を形成し、さらに社会に出たときの大きな支えとなります。そんな子供の人生に大きな影響を与える10代の時期ですが、日本の教育では学力を測るための「受験勉強」という壁が何度か立ちはだかることになります。
学力を高め、同世代と真剣勝負をする受験勉強が人生の役に立たないわけではありませんが、受験勉強だけがすべてではないと考える親御さんもいらっしゃいます。そんな方は、子供が受験勉強に縛られることなく、若いからこそ経験できる教育を施すために私立小学校への編転入を検討されるのです。
特に現在、2020年度入試からの大学受験の改訂にともなって、大学への内部進学(推薦制度)のある私立小中学校の人気が高まっています。
「現在通っている小学校に不満がある」
小学校に通い始めたものの、思っていた学校生活とは違うと考える親御さんがいらっしゃいます。子供の成長のために必要だと考える教育方針や教育施設とかけ離れていたり、担任の教師やクラスの雰囲気などにも不満を感じてしまう場合があります。
そういった親御さんは教育に対する信念を強くもっているため、我が子をより良い環境で育てたいと考えて、納得できる教育方針の私立小学校への編転入を希望される場合があります。
「小学校受験で入学できなかったが諦められない」
私立小学校の教育方針に賛同し、どうしても通いたいと願って努力しても、小学校受験に合格できないお子さんもいます。倍率が高い学校ならば、不合格者の多数がその私立小学校に対する期待値が高いまま他校に通うことになります。
そのため、子供が小学校に通い始めても志望校に思い描いていた学校生活や教育カリキュラムを渇望し続ける方がいらっしゃいます。そういった親御さんは私立小学校に通うことに再度挑戦される場合があります。
「海外から転居したので日本の環境になじめるか不安」
国際化が進む日本ですが、未だに日本の公立小学校には日本で育った子供ばかりで、海外のようにさまざまな環境で育った人を受け入れる文化やスキルはあまりありません。また、公立小学校には外国語を話せる教師が少なく、授業のほとんどは日本語で行われるのが一般的です。
そのため、海外から転居したばかりの子供は日本語しか話せない環境で一人で過ごさなくてはならず、寂しさと不安を抱えることになります。これまで触れてきた文化や常識とは違うということを伝えられず、悪意がなくとも特別視されることを苦痛に感じることもあるでしょう。
私立小学校によっては、そういった帰国子女の子供達が編転入できる制度があります。帰国子女枠があるということは、その学校に通う子供達や教師が帰国子女を受け入れる心構えとスキルをもっているということです。
子供が日本の環境になじんで、楽しく学校に通ってほしいと願う親御さんには、学費が高くても私立小学校への編入を考える方がいらっしゃいます。
「子供が不登校に。私立小学校で再出発をさせたい」
誰しも我が子が小学校に通えなくなるとは思っていません。しかし今、不登校はいつでも、どの子供にも起こりうる身近な問題です。
子供が小学校に通えなくなった場合、保護者は想像している以上に傷つき、責任を感じてしまいます。学校の先生や教育委員会に相談しても子供の不登校が改善されない場合は、新たな学び舎で再出発させたいと考えるのが親心ではないでしょうか。
しかし、子供を学校に行かせるという親の義務を果たすためだけに編転入を考えると、そもそも学校に行く価値や幸福感をもっていない子供の場合は、苦労して編転入試験に合格したとしても不登校が改善されないことがあります。そのため、我が子が不登校になった理由をしっかりと見つめ、子供自身が学校に行きたいと望んでいるかどうかを確認することが前提です。
その上で、親子で編転入試験を受けて学校に通いたいという意思が固まった場合は、志望校側の教師に不登校事情を説明しておきましょう。学校ごとに不登校児童への対応は異なりますので、納得した再出発ができるかどうかを知っておくことが大切です。