ビタミンKは出血し、血管の外に血が出たときに血を固める作用凝固作用を助け、骨を保護する役割を担う大切な栄養素です。今回は、そんなビタミンKを豊富に含む食品を紹介します。知っておきたい基礎知識や、ビタミンKがたくさん入ったレシピも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
もくじ
ビタミンKについての基礎知識
まずは、ビタミンKについての基本的な知識を確認しておきましょう。
天然に存在するのはビタミンK1とK2のみ
ビタミンKにはK1からK7までの7種類があります。このうち、天然に存在するのはK1(フィロキノン)とK2(メナキノン類)のみです。K3からK7までは化学的に合成されたものとなります。
ビタミンK1は植物の葉緑体で生産され、葉菜類や海藻、緑茶、植物性の油などに多く含まれます。ビタミンK1が1種類であるのに対して、ビタミンK2にはいくつか種類があります。そのうち代表的なものは、動物性食品に含まれるメナキノン-4と、納豆菌によって産生されるメナキノン-7です。
どんな働きがある?
ビタミンKの主な働きは以下の2つです。
- 血液凝固作用を助ける
- 骨を丈夫に保つ
それぞれについて簡単に説明します。
血液凝固作用とは文字通り血液を固める働きのことです。出血、内出血した際には欠かせない機能です。血液を固めるには、血液凝固因子と呼ばれるタンパク質が必要ですが、ビタミンKにはこのうちの一つであるプロトロンビンというタンパク質を活性化させる働きがあります。
ビタミンKには、骨を丈夫なままで保つ働きもあります。カルシウムが骨に沈着する際には、オステオカルシンというタンパク質が必要となりますが、ビタミンKはこのオステオカルシンを活性化させることで、骨の形成を助け丈夫に保つのを助けているのです。
足りないとどうなる?
ビタミンKが足りないと体にどのような影響が出てくるのでしょうか。
ビタミンKは野菜や納豆などに豊富に含まれており、通常の生活をしている限りは欠乏することはありません。ただし、新生児期は下記のような理由から、ビタミンKが足りなくなる可能性があります。
- 胎盤がビタミンKを比較的通しにくい
- 母乳にはビタミンKが少ない
- 新生児の腸管が生後数日の間は無菌状態である
新生児期にビタミンKが足りなくなると、新生児メレナ(消化管出血)や特発性乳児ビタミンK欠乏症(頭蓋内出血)に罹患する可能性が出てきます。ビタミンKが関わっている血液凝固作用が正常に働かなくなるためです。世界的にもビタミンK欠乏症は、乳児の罹患と死亡の原因となっており、この時期の赤ちゃんの命を守るためにビタミンKの投与は必須となります。
日本の産科施設では、出産後と1週間後、産後1ヶ月後の計3回、ビタミンKを補給するためのビタミンK2シロップを投与することで、これらの病気を予防しています。
この他、抗生剤を長期間服用している人は、ビタミンK2(メナキノン類)を生成する腸内細菌が死滅してしまう可能性があるため、ビタミンK欠乏症に注意する必要があります。
参考
過剰摂取は問題ない?
ビタミンは水に溶けやすい水溶性ビタミンと油に溶けやすい脂溶性ビタミンに分類されます。ビタミンKは脂溶性ビタミンです。脂溶性ビタミンには、体内に蓄積しやすいという特徴がありますが、ビタミンKを過剰に摂取して健康に問題が生じたという報告は今のところないようです。
ただし、ビタミンKは血液凝固作用を助ける働きをすることから、血液をさらさらにする血液抗凝固剤を処方されていたり、血栓症を患っている人は、納豆などのビタミンKを多量に含む食品の摂取を避けるよう指導されることがあります。