葉酸欠乏症とは?主な症状について
葉酸が不足した状態が長く続くと、葉酸欠乏症という栄養障害を引き起こし、体にさまざまな不調を来します。ここでは葉酸欠乏症になったときに起こり得る症例を挙げてみます。
胎児の先天性異常
妊娠初期に葉酸が欠乏してしまった場合には、胎児に先天性異常が出現する可能性があります。この先天性異常を神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)といいます。子宮内の赤ちゃんの脳や脊髄のもとになる神経管に重大な影響を与えた場合に起こる病気です。
神経管は妊娠6週ごろ(受精4週ごろ)に完成します。この時期に母体の葉酸が欠乏していると、 神経管閉鎖障害を起こしてしまう可能性があるのです。神経管閉鎖障害は、無脳症(むのうしょう)と二分脊椎(にぶんせきつい)が主な症状として挙げられます。 無脳症は胎児が脳を持たない重い症状であるため、死産してしまうケースもあります。
貧血・めまい
葉酸はビタミンB12とともに赤血球を作ったり、DNAなどの「核酸」を作りだす重要な役割を担っています。葉酸が不足してしまうことで血液の生成が追いつかず、貧血やめまい、息切れなどが起こるケースがあります。これらはビタミンB12の欠乏症と似たような症状であり、妊娠中は特に気をつけなければいけない症例です。
抑うつ・錯乱
葉酸欠乏症が進行し、重度の状態になってくると「抑うつ」や「錯乱」などがみられるケースもあります。
国立精神・神経医療研究センター神経研究所の功刀浩氏が行った研究では、うつ病の人の4人に1人が血液中の葉酸値が低いという結果が出ています。また、葉酸を抗うつ剤と比較したところ大きな差異は見られなかったとも報告されていることから、葉酸が欠乏している状態ではうつなどの精神疾患が発症する可能性があるのです。
参考
うつ病患者の4人に1人が葉酸不足 和食で改善|NIKKEI STYLE