ファシリテーターの役割は?単なる進行役ではない!4つの役割と必要なスキル - cocoiro(ココイロ) - Page 3

今すぐ使える!傾聴のテクニックとコツ

ファシリテーターの必須スキルの1つである傾聴は、コツを知っておくと、相手から発言を引き出すときに役立ちます。ここでは、今すぐ使える傾聴のテクニックとコツについて解説します。

傾聴に必要な姿勢とは

言葉の意味や全面的な意図を聴く

傾聴に必要なのは、「あなたを受け入れている」「話をきちんと聴いている」という姿勢です。人間は自分を受け入れている・認めてくれている相手に対しては、心を開きやすいものです。発言者の言葉の根底にある感情を聴き取るためには、発言者を受け止める姿勢を見せましょう。

表情や態度など、言葉以外のメッセージを読み取る

発言者の真意は、言葉だけでなく、表情や口調・態度などから読み取ることができます。一般的に考えられる例としては、次のようなことが挙げられます。

発言者の様子 考えられる状態
抑揚がなく一本調子な口調 発言者の本意ではない? 誰かの意見を言わされている?
テンポが速い 意見に自信がある。または自信がない。
顔色が悪い 体調不良? 会議の参加に当たって不安点がある?
明るい顔つき 会議の内容をよく理解している。自分の意見に自信がある。

傾聴を示すテクニックとコツ

ファシリテーターが傾聴を示すことで、参加者は発言しやすくなります。積極的に傾聴していることを示すテクニックとコツは次のとおりです。

沈黙を嫌がらない

発言者が言葉につまると、つい口を出したくなるもの。しかし、それは時と場合によっては発言者の言葉を奪うことになりかねず、不要なプレッシャーを与える可能性があります。あえて発言せず、「ゆっくり考えて大丈夫」という空気を出して安心させましょう。

発言者の意見を繰り返したり、言い換えたりする

きちんと聴いていなければできないこと。「あなたの発言をしっかり聴いている」というアピールにつながります。

相づちやうなずき、相手の目を見て話を聴く

傾聴者のあいづちやうなずきは、発言者に「自分は話していていいのだ」という自信を与えます。

傾聴を深めるための質問とは?

傾聴を深めるためには、質問が有効です。質問することで、発言者の頭の中にある「意見や考えを」引き出せる上、発言者自身が気がついていないことを気づかせることができます。傾聴を深めるために効果的な質問と、効果的ではない質問は次のとおりです。

効果的な質問

  • 分かりやすい質問
  • 素朴な疑問
  • 端的で簡潔な質問
  • 別の視点や立場からの質問
  • あえて突飛な質問

NGな質問

  • 質問を特定の参加者に集中させる
  • 詰問・尋問調の質問
  • 長い質問
  • 無意味な質問
  • 意図が分かりにくい質問
  • 孤立させるような質問

ビジネスだけじゃない!ファシリテーターが必要とされる場面

ファシリテーターのスキルは、「コミュニケーションに関する総合的なスキル」ともいえます。そのため、ファシリテーターのスキルはビジネスの場以外にも活用できます。ここでは、ファシリテーターが必要とされる場面について考えてみました。

会社

ファシリテーターがいることで、会議やプロジェクトは活性化するでしょう。チームでの活動を効率的に進めることができるため、メンバー間の不平不満や負担を減らすことも可能です。メンバーのやる気を引き出すことで、全体的な組織力アップも期待できるでしょう。ファシリテーターは、会議や組織改革、社員教育の場などで欠かせない存在です。

学校

ファシリテーションのスキルは、学生生活にも役立ちます。クラス活動やクラブ(サークル)活動以外にも、学園祭などのイベントでも必要とされる場面は多いでしょう。日本ファシリテーション協会では次のように書いています。

ファシリテーション能力があれば、学生生活をエンジョイできること間違いなし。就職活動でも圧倒的に有利になります。最近の企業面接では、グループディスカッションを取り入れているところが多く、議論をうまくリードできれば社会的なスキルの高さをアピールできるからです。

(引用元:効用|特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会

友人・近所付き合い

ファシリテーションは人間関係全般に生かせるスキルです。マンツーマンや少数での付き合いには、傾聴が役に立ちます。複数人が集まる話し合いの場ではファシリテーターのスキルは重宝されるでしょう。

親子関係

子供が大きくなるにつれて、「子供とどう接していいか分からない」「子供が反抗期で接し方が難しい」などと悩むこともあるでしょう。日本ファシリテーション協会では、ファシリテーションのスキルは、親子関係にも生かせるとし、次のように書いています。

家族は一番身近なチームでありながら、コミュニケーションが疎かになりがちです。ファシリテーションのスキルをベースにした対話やプロセスの促進技法は、親と子、夫婦の関係性を高めるのに大いに役に立ちます。ファシリテーションをうまく使うことが、家庭円満、夫婦円満の秘訣でもあるのです。

(引用元:効用|特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会

まとめ

ファシリテーターは、ビジネスや会議だけでなく、人が集まる場で重宝されます。幅広い分野で応用できるため、ファシリテーターのスキルは強力な武器になります。コミュニケーションに関する総合的なスキルですから、すぐに身につくものではありません。しかし、当記事でご紹介したテクニックやコツを意識し実践することで、少しずつ身についていくはずです。

参考

グロービス(著)吉田素文(執筆)(2014年)『ファシリテーションの教科書: 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ』東洋経済新報社

ファシリテーションとは|特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会

効用|特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会

1ファシリテーションの全体像|奈良県

①ファシリテーターの心得 ②ファシリテーターの役割とスキル|奈良県

ファシリテーターの役割を整理してみました|Preneur-Preneur

ファシリテーター とは何か?ファシリテーターの用語の意味からファシリテーターの価値まで |Preneur-Preneur

ファシリテーターとは|役割と上手にこなすコツを大公開|ferret

この記事をかいた人

高橋マリ―

元フリーアナウンサー。企業イベントMC、ラジオCMナレーションなどに携わるほか、科学専門番組のMC兼APとして大学教授などを多数取材。結婚後はしばらく専業主婦。のちに地域情報紙の編集・ライターに。夫の転勤で退職し、ドイツで妊娠、出産、保活を経験。関心は幼児教育、ダイエット、時短家事、アンガーマネジメントなど。2児の母。親子バレエサークルの名ばかり代表。現在はライターとして活動中。