ファシリテーターとは、「話し合いがスムーズに進むように舵取りする進行役」です。ビジネスの場でよく用いられるため、なじみがある人もいるでしょう。
しかし、ファシリテーターは多くのスキルを必要とすることから、うまくできる人は極めて少ないとされています。そこで、当記事では、ファシリテーションの初心者が一人前のファシリテーターになれるように、役割や必須スキルなどを分かりやすく解説していきます。「人付き合いが苦手」「会議が苦痛」という人は、ぜひこの記事の内容を役立ててください。
もくじ
ファシリテーターとは?
ファシリテーターは、ファシリテーションを行う人を指す言葉です。ファシリテーションとファシリテーターについて、日本ファシリテーション協会は以下のように記しています。
ファシリテーション(facilitation)とは、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します。その役割を担う人がファシリテーター(facilitator)であり、会議で言えば進行役にあたります。
(引用元:ファシリテーションとは|特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会)
会議の進行役と聞くと、司会者をイメージしがちですが、これはあまり的確ではありません。複数の人が集まる会議などでは、参加者はそれぞれの考えや視点に基づいて発言するため、混乱が生じやすくなります。そのほか、意見の偏りや、会議への無関心・無意欲、参加者が意見を公平に出せないなどの問題もあります。これらの問題解決を担うのが、ファシリテーターです。中立かつ公平な立場で意見をまとめ、参加者の発言を促すことで、話し合いを有益なものとします。
ファシリテーターは「話し合いの場を中立な立場でコントロールする人」と考えると分かりやすいでしょう。このため、ファシリテーターは「機械の潤滑油」や「オーケストラの指揮者」などに例えられることがあります。
ファシリテーターの4つの役割
話し合いの場を中立な立場でコントロールするファシリテーターの役割を、4つに分類してご紹介します。
安心・安全な「話し合いの場」を提供する
話し合いの活性化のためには、「参加者の誰もが気兼ねなく発言できる場」を提供しなければなりません。参加者が「意見を否定されたらどうしよう」「話すのが苦手だから苦痛」などの心配を抱えていては、話し合いの活性化は難しいでしょう。
良い話し合いのための環境づくりの例 | 理由 |
参加者に応じた会場の広さ | 広すぎても狭すぎても不適切。広すぎると集中力欠如、狭すぎると窮屈になる |
机や椅子の配置にこだわる | 参加者同士が適切な距離感になるように配置する |
お菓子やお茶などの準備 | 場の空気を変えたり、緊張をほぐしたりするために有効 |
また、あらかじめ話し合いのルールを決め、話し合いの最中に誰もが見られるようにしておくのも良いでしょう。参加者が「安心して発言できる環境」をつくることが大切です。
話し合いのルール・一例
- 1人で長時間意見を述べるのはNG
- ほかの人の発言中は、どんな理由であれ意見NG
- ほかの人の意見を尊重し、耳を傾ける
- 批判は絶対にNG
メンバーの意見を引き出し、対話を促進させる
話し合いの主役は参加メンバーです。主役が存分に活躍できるように、ファシリテーターは参加者の意見をうまく引き出す手腕も求められます。口下手な参加者には、適切な質問や分かりにくい部分などを補うアシストをし、独壇場になりそうな参加者にはブレーキをかけます。話し合いの場が停滞したり、妙な雰囲気になったりしたら、例え話や自分の経験を基にメンバーに話を振って、対話を促進させましょう。
メンバーの意見を記録し、整理する
参加者から聴き出した意見をまとめることも、ファシリテーターの重要な役目です。話し合いを聴きながら、ホワイトボードや黒板などにそれぞれの意見の違いや類似点を書き出していきます。ポイントは、一目で分かるように端的に整理すること。参加者全員が理解できるように、視覚的に分かりやすく記録する必要があります。
メンバーの意見をまとめ、合意形成する
会議や話し合いには、必ず目的・ゴールがあります。目的を達成するためには、グループの意見をまとめなければなりません。ここで大切なのは、どんな話し合いにおいても「100%の正解は存在しない」ということです。ファシリテーターは正解・不正解にとらわれず、現状の情報によるベストな選択や合意を目指します。