ろうきんの教育ローン
概要と特徴
労働金庫(ろうきん)は、働く人々の福利共済や経済的なゆとり、豊かさの実現を目的として作られた、労働者協同組織の金融機関です。利潤を追求する銀行などの金融機関とは異なり、利用者の利便性が第一。生まれた利益は事業に還元して、利用しやすい商品やサービスという形で利用者に届けています。
そういった組織の在り方から、ろうきんの融資商品は低金利で利用しやすいことが特徴です。教育ローンも、その特徴を備えた融資商品のひとつ。また労働組合や生協の組合員だけでなく、働く人なら誰でも利用することができます。
申し込みのしかた
ここからは、中央労働金庫(中央ろうきん)の教育ローン(証書貸付型)を例に解説していきます。詳しくは、自宅や勤務先のある地域のろうきんのサイトなどで確認してください。
申し込み条件
融資の対象となるのは、原則として次のような人です。
- 同一勤務先に1年以上勤める給与所得者
- 安定継続した年収(前年税込み年収)が150万円以上ある人
契約社員やパート社員、自営業者などでも一定の条件を満たせば利用が可能ですので、相談してみましょう。
また、申し込み時にはろうきんの指定する保証協会の保証を受ける必要があります。保証料はろうきんが負担します。
申し込み方法
店舗やローンセンターに出向いて相談する、もしくはホームページから仮審査申し込みをする、といった方法があります。店舗やローンセンターに直接出向く際は、あらかじめ電話で日時を予約する方が確実です。定期的に相談会も開催されていますので、そちらに参加することもできます。
仮審査申し込みをした場合は、仮審査の結果連絡を待って正式に申し込み、融資の承認を受けて入金される流れとなります。仮審査から正式な申し込みまでの間に所定の期間が経過した場合には、改めて審査が必要となる場合があります。
必要書類
仮審査を経て正式な申し込みをする際には、以下の書類が必要です。
- 借入申込書
- 個人情報に関する同意書
- 本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)
- 収入確認資料(給与証明書兼在籍証明書、源泉徴収票など)
- 勤続年数確認資料(健康保険証、給与証明書兼在籍証明書)
- 普通預金口座の届け出印
- 入学/在学証明書(入学証明書、合格通知書、在学証明書、学生証など)
ろうきんの教育ローンは、奨学金の借り換えにも利用することができます。その場合は、入学、在学証明書の代わりに次の書類が必要となります。
- 借換対象商品の借入申込書
- 借換対象商品の残高確認資料
- 返済状況を確認できる資料 など
借入金額、金利と返済方法
借入金額は最高で2,000万円。返済期間は最長15年で、変動金利(2.2~2.4%)と固定金利(2.4~3.9%、奨学金借換の場合は1.2~2.1%)のいずれかを選ぶことができます。金利は、借りる人がろうきんの出資団体の構成員か否か、返済期間を何年にするかなどで変わります。
返済方法は、元利均等毎月返済(ボーナス月などの増額返済も併用可)が基本ですが、最長5年間元金返済を据え置いて利息のみ返済する方法や、融資金額を1学年ごとなど、分割して受け取り、その間利息のみを返済する方法もあります。
参考
銀行の教育ローン
概要と特徴
銀行は営利を目的とする企業です。そのため銀行の教育ローンは、国の教育ローンや公共性を持つろうきんのローンに比べ、金利が高く借入条件も厳しい傾向があります。国の教育ローンやろうきんの教育ローンは年収要件が低く、特に国のローンの場合は年収の低い世帯が利用しやすくなっていますが、銀行の教育ローンは、年収や勤続年数、収入の安定性などがより厳しく問われます。また金融機関ごとに商品種類も多く、金利や借入限度額、担保や保証についての規定もさまざまです。
種類
銀行の教育ローンは、担保の有無や保証の仕方によって次のように分けられます。
有担保型
所有する土地や建物などを担保に教育資金を借り入れるものです。返済が滞り完済できなくなったような場合は、担保が残りの返済に充当されます。有担保型の教育ローンは無担保型に比べ、金利が低く抑えられる特徴がありますが、このローンを利用できるかどうかは、担保にする不動産の価値評価によります。また、担保にする不動産には銀行の抵当権が設定されるほか、申込者が団体信用生命保険に加入することが条件となる場合が多くなっています。
無担保型(証書貸付型)
無担保型教育ローンは、担保設定や連帯保証人、団体信用生命保険への加入などが不要なローンです。保証は保証会社が行いますが保証料負担のないことがほとんどで、その分金利の設定は高くなっています。証書貸付型は申し込みによって教育資金を一括借入し、借入の翌月から返済をスタートさせるタイプのローンです。金利は銀行によって異なり、変動金利の場合と固定金利の場合があります。
無担保型(カード型)
カード型の無担保型教育ローンは、専用カードを使ってATMから随時、借り入れや返済ができるタイプのローンです。いつでも借り入れ、返済が可能なため、急な教育費用の発生時や少額の借り入れに便利で、融通性の高いローンです。ただし、金利は高めに設定されています。
申し込み、借入金額、金利と返済方法
それぞれの教育ローンのおおまかな傾向は、「種類」のところで述べた通りです。具体的な申し込み方法や借入金額、金利と返済方法などについては、借入先候補として考えたい銀行ごとに調べて、比較検討しましょう。
参考
教育ローンは、どの金融機関を選ぶべきなのか?主要な金融機関を比較検討してみました|マネタス
教育ローンの特徴を細かく知ろう!金融機関が取り扱っている有担保型と無担保型の違いを紹介 | マネタス
教育ローンの保証料とちょっとしたカラクリとは?あらかじめ注意しておくべきポイントをわかりやすく紹介 | マネタス
我が家に適した教育ローンを選ぶ
比較検討する際のポイント
それぞれの教育ローンを比較検討する際は、次のようなポイントをチェックしましょう。
- 必要な教育資金を用意できるか
- どのくらいまで借り入れることが可能か、必要な用途がカバーされているか、など
- 借り入れることが可能かどうか
- 申し込みの条件に当てはまるか、担保や保証はどうなっているか、など
- 返済が可能かどうか
- 金利の種類と年利率、返済期間はどのくらいか、月々の返済額はどのくらいか、など
また教育ローンは、返済が長期にわたります。途中で返済が難しくなるリスクも考慮し、家計状況の確認と事前の返済シミュレーションもしておきましょう。
教育ローンの比較一覧表
最後に、この記事で取り上げた教育ローンそれぞれの特徴について、一覧にまとめます。比較検討の際の参考にしてください。
金融機関 | 日本政策金融公庫 | ろうきん | 銀行 |
借入金額 | 350万円まで | 2,000万円まで | 10万円~数千万円 |
用途 | 学校納付金、受験費用、在学中の住居費、その他の教育費用 | 教育資金のほか、奨学金や他の教育ローンの借り換えにも | カード型なら少額の一時的な費用など、自由度が高い |
借入条件 | 年収上限あり、低年収世帯などへの優遇措置あり | 原則として、勤続1年以上の給与所得者、前年税込年収が150万円以上 | 銀行ごとに要確認 |
保証/担保 | 連帯保証人または教育資金融資保証基金による保証 | ろうきん指定の保証協会による保証(保証料負担なし) | 有担保型なら不動産担保が必要、無担保型であれば保証会社の保証 |
金利 | 固定金利、年1.71% | 変動金利(2.2~2.4%)または固定金利(2.4~3.9%) | 変動金利または固定金利、年利数%~十数%で比較的高め |
返済期間 | 最長15年、利息のみ返済可能期間あり | 最長15年利息のみ返済可能期間あり | 銀行により、数ヶ月~10年、10数年程度 |
参考
教育ローンとは?ライフプランを考えたメリットとデメリットも紹介|マネタス
教育ローンは、どの金融機関を選ぶべきなのか?主要な金融機関を比較検討してみました|マネタス
まとめ
借りやすさ、返しやすさの点から考えれば、国の教育ローンである日本政策金融公庫の貸し付けはメリットが最も大きいと言えるでしょう。民間の教育ローンであればまず、借り入れのハードルが低く金利の設定も利用しやすい、ろうきんを検討してみましょう。ご自身のニーズと無理のない返済を考慮して、適した教育ローンを選んでください。