大人であるわたしたちができること
学校現場だけでなく、保護者や周囲の大人たるわたしたちにもできることを考えてみましょう。
支援方法①:ICT支援員になる
IT関係の仕事に就いていたりコンピューターを日常的に使っていたりして、あまり得手ではない人より知識があるのなら、ICT支援員になって学校をサポートしてみてはどうでしょうか。ICT支援員は学校の外部人材で、教師が授業を行ったり指導計画を作成したりする際のサポートをしたり、学校のICT環境の整備や機器の維持管理の手助けをしたりといった活動が想定されています。
具体的な活動内容や任用制度などは自治体によって実状が異なります。興味があれば、地元教育委員会に問い合わせるなど情報を集めてみましょう。
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支援方法②:プログラミング教室やwebコミュニティを利用
学校でのプログラミング教育以外にも、地域のNPOや大学、民間業者などの主催で様々なプログラミング教室が開催されていますし、自宅にweb環境があれば、自宅のパソコンからwebのコミュニティに参加して、プログラミングを楽しんだり作った作品を公開したりすることができます。より手軽なアプリを利用するのもいいでしょう。子供の興味と体験の機会を広げてあげましょう。
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支援方法③:理工系に興味を持つ女の子を応援
理工系の分野に興味を持つことは、男の子でも女の子でも関係ありません。それでもいまだに「数字や機械は男の子が得意」などといった先入観は根強く残り、女の子が興味と熱意を持ち続けるのを難しくする現状があります。このような思い込みは理工系の道に進む女子学生を少なくする一因にもなっており、IT企業ではダイバーシティの欠如が大きな問題です。
コンピューターやプログラミングに興味を持って取り組む女の子がいたら、フラットな態度で接し、その芽を摘んでしまわないような配慮を。プログラミング入門者の女の子を応援する本『Girls Who Code 女の子の未来をひらくプログラミング』も、おすすめの一冊です。
参考
アメリカにおけるコンピュータサイエンス教育-Code.orgによるHour of Codeの取り組みを踏まえて(前編)|EdTechZine
レシュマ・サウジャニ、鳥井雪訳(2019年)『Girls Who Code 女の子の未来をひらくプログラミング』日経BP
おわりに
子供たちがプログラミング教育の必修化を迎えようとする今、保護者そしてすべての大人の皆さんと、次の言葉を共有したいと思います。前出『Computational Thinking 計算論的思考』、ウィングからのメッセージです。プログラミング教育に対するわたしたちの視野を広げ、力強く励ましてくれる言葉だと思いませんか。
多くの人がコンピュータ科学をコンピュータのプログラミングのことだと思っている。コンピュータ科学を専門とする子供たちの就職先の可能性を狭く捉える親がいる。またコンピュータ科学の基礎的研究は完了していて技術的問題だけが残っていると、多くの人が考えている。計算論的思考は、この分野に対する社会通念を変えようとする。
コンピュータ科学を専攻した学生は何を専門にしてもよい。英語や数学を専攻した学生は異なる分野で複数のキャリアを追求しているではないか。コンピュータ科学もしかり、コンピュータ科学を専攻した後に医学、法律、経営、政治、そしてあらゆる種類の科学や工学、さらには芸術の分野に進むことができる。
(引用元:Jeannette M. Wing、中島秀之訳(2015年)『Computational Thinking 計算論的思考』情報処理 Vol.56, No.6)
参考
小学校を中心としたプログラミング教育ポータル|未来の学びコンソーシアム
青山比呂乃(2000年)『司書教諭のいる学校図書館と情報教育の可能性 : 1つの事例報告』情報の科学と技術 Vol.50, No.8