文化祭でジェットコースター!作り方や教育的意義・安全面について - cocoiro(ココイロ) - Page 3

ジェットコースターを子供に作らせるのは危険ではないの?

実際に文化祭のジェットコースターを映像で見てみると、ワクワクする一方でちょっとヒヤッとする親御さんもいるのではないでしょうか。教員の監督の下で作っているのであれば、ある程度信頼はしたいけれど、本当に大丈夫なの? なぜわざわざそんなものを作るの? という疑問にお答えします。

教育的な意義・メリット

自発性の薄かったクラスが活発になる

学校内で、学校行事の一環として行うということは、それなりに教育的な意義がある必要があります。文化祭は他の生徒と共同で何かをやり遂げるということが、ひとつのポイントになってきます。共同でというからには、生徒の側にもある程度の自発性が求められます。全員が受け身になっていては物事がなかなか進まないからです。「ジェットコースターを作る」という、不可能ではないかもしれませんが、ちょっと難しい課題。自分から発言する、動く生徒が増えることが期待されています。

大きな目標を立てて努力する経験になる

個々人の受験勉強や部活などで目標に向かって努力することはありますが、クラス単位でというとなかなか機会はないのではないでしょうか。特に勉強に力を入れていなかったり、部活に入っていない子供にとっては、文化祭というのは他ではできない経験が得られるチャンスとなります。

ものづくりをしたことがない子供にとっては、大人が思う以上にジェットコースターは難題だと感じるかもしれません。そこに自分たちで挑戦するというのは、とても大きな経験になるでしょう。

失敗が許されない環境から抜け出す

「今の子どもたちは失敗しちゃダメだといわれ、失敗を恐れている。大きなことにチャレンジする機会もなかなかないから、こうやって一つの目標に向かって協力し合えるのが大切だと思うんです」

(引用元:文化祭で「ジェットコースター」ブーム?そんな青春うらやましい 設計図「1千校」に配布の「仕掛け人」 | msnニュース

こちらは私立愛知高校の小崎邦夫教諭の意見です。保護者の世代から見ても、今の子供たちの周りには禁じられていることは多いのではないでしょうか。もちろん安全を重視することは大切なことなのですが、大人が見守る中で失敗を経験することも子供の成長には必要だという意見です。

危険性はもちろんある!どうやって気をつける?

試作や安全確認に十分なスケジュールをとる

そうは言いつつも、危険性の問題をクリアしているわけではありません。高いところから滑り降りるジェットコースターは、一歩間違えば大事故につながりかねません。尼崎北高校の吉田英一教諭をはじめ、多くの教員が強調するのは「慎重に取り組むこと」です。

スケジュールには余裕を持たせる必要があるでしょう。実際に組み立てるだけでなく、学校側の了承を取る、設計図を引く、材料をそろえる、試作をして安全性を確かめるなどの取り組みが必要です。

秋に文化祭がある学校で、夏休み明けから取り組むのは少々遅すぎるかもしれません。スケジュールに余裕がなさそうな場合は、無理をせずに来年の文化祭を目標にしましょう。

参考
文化祭企画 宝塚東・尼崎北高校→全国のジェットコースターファミリー | サイエンス ファクトリー 英一

物理や技術に詳しい先生についてもらう

ジェットコースターは木工の知識だけでは作ることができません。加速度などについてもしっかり考えて、体重制限をかける必要もあります。体重が軽すぎる人が乗るとコースターが浮いてしまうかもしれませんし、逆に重すぎる人が乗るとカーブを曲がりきれずに脱輪する可能性があります。

このような計算は、子供だけでなく物理や数学の先生に手伝ってもらいましょう。また、施工の実際的な面は技術の先生などに見てもらう方がいいでしょう。保護者に土木や建築関係の専門家がいれば、そちらを頼ることも可能かもしれません。

当日はこまめに点検を繰り返す

(出典:高校の文化祭でジェットコースターを作ってみた(新) | YouTube)

ジェットコースターを完成させ、問題なく走らせることができたとしても、使いながらの点検は大切です。上記動画のジェットコースターを作った学校では「10人乗ったら車輪、50人乗ったらレール」というように点検の頻度を決めて当日に臨んだそうです。

ジェットコースターは人気企画になりやすいため、子供たちはできるだけたくさんの人を乗せてあげたいと思うかもしれません。しかし事故防止のために、大人の視点からしっかりとアドバイスをしてあげましょう。

参考
文化祭でジェットコースターをつくりたい! | ryota’s BVE

まとめ

とてもじゃないけど1クラスでできるような出し物ではないのでは? と思ってしまうジェットコースター。本記事を読んでみて、できそうな気がしましたか。「いや、やっぱりやめておいた方がいいのでは?」と思った親御さんもいるかもしれません。最終的な判断はクラスと担任に任されることになるでしょうが、子供ともじっくり意見交換をしてみてください。

参考
PA-050 クラスで取り組む文化祭活動における高校生の成長の検討(学校心理学,ポスター発表) | 日本教育心理学会総会発表論文集
研究論文〉高校生の友人関係の状況が文化祭および体育祭への消極的な参加態度に与える影響 : 都立高校生を対象とした質問紙調査データの分析から | つくばリポジトリ

この記事をかいた人

akahoshitomoka

piggiesagogoクロシェター・ライター。 オリジナルの編み物作品の作り方を販売しながらライターもしています。守備範囲はハンドメイドから不動産まで。三浦半島が好きです。