クリスマスカラーにはどんな意味がある?色のイメージから広がる世界 - cocoiro(ココイロ)

12月になると、街にはクリスマスのディスプレイやイルミネーションがあふれます。オーナメントやリースなど、飾りつけを楽しむ家庭も多いでしょう。赤・緑・白の組み合わせを見るとわたしたちは直感的にクリスマスらしいと感じますが、クリスマスカラーにはどんな意味があるのでしょうか。クリスマスカラーを配色に上手に生かすコツはどのようなものでしょうか。色の持つイメージや商業デザインの事例から探っていきます。

クリスマスカラーにはどんな意味があるの?

クリスマスの定番カラーは赤・緑・白

クリスマスの定番カラーとしてよく使われるのは、赤、緑、白の3色です。リースやツリーなども、この3色の配置でぐっとクリスマスらしい印象になるのは、みなさんも覚えがあるでしょう。そのほかよく使われる色としては、ゴールドやシルバー、青などがあります。

では、クリスマスカラーのそれぞれの色には、どんな意味があるのでしょうか。よく聞かれる説を紹介していきます。

基本カラー①:赤

クリスマスカラーの基本色、赤には次のような意味があると言われます。

・イエス・キリストが流した「血の色」、「神の愛」の象徴
・リンゴやヒイラギの実の色
・サンタクロースの服の色

参考
クリスマスカラーの由来って?色のもつ意味とオススメの配色|SHIZUOKA ONLINE
クリスマスのデザインにおすすめ!カラーとモチーフについて|印刷の現場から

キリスト教の祭祀においては、次のような意味を持って使われているようです。

・復活大祭、聖神降臨祭および致命者の祭日(東方正教会)
・愛徳の炎・殉教者の流された血のしるし(ローマ・カトリック教会)
・聖霊の炎と働きを表す(ルーテル教会)
・聖霊および血のシンボル(聖公会)

参考
4教派 祭色対照表|くりホン キリスト教教派の森

「キリスト(殉教者)の血」とは、迫害にあって十字架に張り付けにされたキリストの受難のこと。人類の罪を引き受けて死であがなう神の愛を示す、キリスト教の真髄です。

サンタクロースの服が赤いのは、サンタのモデル聖ニコラウスの司祭服が赤色だったからとも言われますが、どうもそういった宗教的な由来ではなさそうです。赤い服と白いヒゲのお爺さんというサンタのイメージが定着したのは、コカ・コーラ社が1930年代から展開した広告のイラストレーションによるものだという説があります。

3~4世紀の聖人の服の色が今日まで正しく伝わっているとも考えにくいので、コカ・コーラを象徴する赤のカラーとともにサンタの赤い服も広まった、と考える方が納得ではないでしょうか。

参考

イエスの死はどのようなものであったか?|OPUS DEI
Journey Scoop! 「赤い衣装のサンタクロース」は コカ・コーラ社のキャンペーンがルーツだった!?|日本コカ・コーラ株式会社

基本カラー②:緑

赤と組み合わされる代表的な色が緑。緑には次のような意味があると言われます。

・モミの木やヒイラギなど、常緑樹の葉の色
・「永遠の命」の象徴

参考

クリスマスカラーの由来って?色のもつ意味とオススメの配色|SHIZUOKA ONLINE
クリスマスのデザインにおすすめ!カラーとモチーフについて|印刷の現場から

キリスト教の祭祀での使われ方は、次の通りです。

・希望を表す(東方正教会)
・天国への旅を照らすキリスト教的希望(ローマ・カトリック教会)
・信仰の希望と成長(ルーテル教会)
・平和、希望、生命、自然、成長(聖公会)

参考

4教派 祭色対照表|くりホン キリスト教教派の森

モミの木やヒイラギは、クリスマスツリーやリースなどクリスマスの飾りつけに使われる代表的な植物ですが、いずれも後世に異文化から取り込んだ習俗と考えられます。

参考

クリスマスツリー|ウィキペディア
リース(装飾)|ウィキペディア

基本カラー③:白

冬らしさを感じさせ、赤や緑の鮮やかさを引き立てる白。白には次のような意味があると言われます。

・純潔、潔白、罪を清める
・まっさらな新しさ
・雪の色

参考

クリスマスカラーの由来って?色のもつ意味とオススメの配色|SHIZUOKA ONLINE
クリスマスのデザインにおすすめ!カラーとモチーフについて|印刷の現場から

キリスト教の祭祀では、次のような意味を持ちます。

・埋葬式、昇天祭、変容祭、洗礼機密(東方正教会)
・心の純潔・キリスト教的な喜びのしるし(ローマ・カトリック教会)
・神とキリストの栄光を表す(ルーテル教会)
・純潔・喜び・真理の光・勝利(聖公会)

参考

4教派 祭色対照表|くりホン キリスト教教派の森

祭礼での使われ方は、天や光、輝かしさのイメージが強いようです。雪のイメージが生まれたのは、キリスト教が北方の国々に伝わりクリスマスが雪の季節の行事として定着してからのことなのでしょう。

その他の定番カラー:ゴールド、シルバー、青

そのほか輝かしいゴールドやシルバー、深みのある青などが、基本の3色に組み合わせてよく使われます。キリスト教の祭祀における使われ方を見ると、青は聖母マリアやキリストの誕生に結びつく色、ゴールドは白や赤、緑の代用色と認識されているようです。

クリスマスカラーの意味は、必ずしもキリスト教由来のものとは限りませんし、正統で唯一の根拠があるわけでもありません。キリスト教は世界各国に広まる過程でそれぞれの地域の文化や習俗を取り込んで成長してきたのですし、クリスマスに典型的だと思われているアイテムも、さまざまな文化から徐々に加わったものだからです。

クリスマスカラーとは、クリスマスが人々の間に広まり定着しさらに商業化されていく中で、わたしたちの間に共通のイメージと理解が出来上がったもの、と受け止めればよいのではないでしょうか。