子育てに行き詰まったとき、子育てマニュアルを参考にするのもいいのですが、マニュアル通りに子育てするのはほぼ不可能です。誰にも相談できない場合、1人で抱え込んでしまいがちです。
アドラー心理学は、子育てに役立つ心理学として多くの悩める親の役に立っています。子育ての悩みを抱えている親に役立つ、アドラー心理学と書籍『嫌われる勇気』の特徴や取り入れる際の注意点をご紹介します。
もくじ
アドラー心理学の基本的な考え方
アドラー心理学は幅広い分野から注目されている心理学です。ただし一般的な心理学とは少し違います。目的をつくり、それに向かって行動するのではなく、行動するために目的をつくるという考え方をします。心理学でもちょっと特殊で、子育てにも役立つとして注目されています。アドラー心理学をもう少し詳しく掘り下げていきましょう。
すべての悩みは対人関係にある
アドラー心理学では、どんな悩みもその原因は対人関係にあると考えます。例えばお金がないということに悩むとき、普通は「自分がふがいないから」「いい仕事に就けなかったから」と原因を考えます。
お金が必要な理由はいくつかありますが、ないならないなりに身の丈にあった生活をすればいいだけです。しかしここに対人関係が絡んでくると、「みんなが遊びに行くのに自分はお金がないからいけない」「みんながおしゃれを楽しんでいるのに自分はお金がないからおしゃれもできない」となってしまいます。
でも自分は遊びに行きたくもないし、おしゃれにも興味がないとしたら、悩みの原因は対人関係にあることになります。ということは対人関係を考え直せば、お金がなくても自分らしい暮らしができるのです。
劣等感を克服すると飛躍できる
アドラー心理学では、劣等感に対してもユニークな考え方をします。そもそも劣等感というのは、自分より優秀な人と比べることで湧き上がる感情です。自分が劣っていることを恥じてしまい、それがコンプレックスになります。こうなってしまうと、何もかも卑屈に考えてしまい、何かをする前に「どうせ自分は何をやってもダメだからやるだけ無駄」と逃げ道をつくってしまいます。
劣等感やコンプレックスを抱えていてもどんどん卑屈になるだけです。それを努力することで克服できれば、いろんな可能性を見だすことができます。
目的論
アドラー心理学では「目的があって行動するのではなく、行動する理由が欲しいので目的をつくる」と考えます。これを「目的論」としており、「目的論」に対して「原因論」というのもあります。
子育てなら、「子供がわがままを言って親の言うことを聞かない」というシチュエーションに例えると分かりやすいです。この場合、原因論では「親と子供の関係がうまくいっていない」「子供が親の愛情を感じられないような生活環境」などが考えられます。目的論で考えると、「子供がわがままを言うのは親の愛情を確認したいから」「自分に気を向けてほしいという目的からわがままを言う」と考えます。
原因論では原因がわかってもそれを解決するヒントがありませんが、目的論として考えると解決に向けたヒントも見えてくるのです。