デンマーク教育は人にも社会にも優しい!福祉国家の教育システムに迫る - cocoiro(ココイロ) - Page 3

学校内や家庭での教育は?

デンマークは民主主義国家なので考え方の根底には、「人の権利を尊重する」、「人の自由と尊厳を大切にする」、「人を認め共に支え合う」などがあり、家庭や学校内の教育方針にも反映されています。

幼稚園での教育

デンマークでは、子供の教育に必要なものは「社会性」、「責任感」、「自由な心」を育てることだとしています。ですから学校に入るまで、読み書きや数の数え方などを教える必要はないと考えています。また幼稚園や保育園では、年齢でグループを分けることはせず一緒に自由に遊ばせます。子供は、さまざまな遊びを通して、共同で創造的な活動をおこなったり、ゲームを楽しむためにコミュニケーションをとったりします。

それは個人が社会と関わっていくことを知る大切なプロセスであるため、教師は子供たちの活動に入ることはなく見守ることに徹します。日本では、子供の安全を優先するあまり、怪我をしそうなとき、けんかになりそうなときは大人が介入して、トラブルを未然に防ごうとすることが多いようです。

しかしデンマークではトラブルは自分で防ぐものと考えるので、まずは強い体つくりを優先します。ですから幼稚園では思い切り泥の中で遊ばせたり、寒い室外でのお昼寝もさせたりするのです。

小学校での教育

小学校では1クラスに20人程度の生徒が在籍し、教師と子供が近い距離で対話しながら学習を進めます。デンマークでは子供1人1人の能力に合わせた学びを大切にするので、個別の指導が多いです。教師が黒板の前に立ち、クラス全員に教え込む日本の教育方法とはずいぶん異なります。

もう1つ、日本との大きな違いはテストや通信簿がないことです。そのため子供は点数で評価されることなく成長し、周囲から認められる自らの個性を誇りに思うようになります。このように育った子供は、民主主義の目指す自由や平等、責任を学び取り、国民が幸せだと感じる国づくりを手伝う人材になっていきます。それがまた次の世代にも受け継がれていくので、デンマークの社会福祉の精神は続くのではないでしょうか。

まとめ:自由・平等・責任の心を育て、幸せな人生を!

『世界幸福度調査報告書』で毎年、上位に位置するデンマーク教育についてみてきました。

  • 9年間の小中一貫の義務教育
  • テストや通知表はない
  • 義務教育を終えた後、進学する生徒は4割
  • 公立の国民学校や大学は無料
  • 子供の考えや個性を育てる私立学校もある
  • 民主主義、福祉社会の考えを根底にした教育方針
      国の制度の違いもあり日本への早期の導入は難しい教育システムですが、子供の個性を生かし自由な考え、協調性、共同性を高めるような教育は、日本の家庭でも実践できそうです。まずは子供の目を見つめ「あなたは何がしたい?」と問うところから始めてみてはいかがでしょうか。

この記事をかいた人

アバター画像

cocoiro編集部

cocoiroは常に更新し成長する「教育百科」です。 教育に関心を持つお父さん・お母さんに向けて、 事実や経験に基づき最新の教育情報を提供するメディアを目指しています。 子供一人ひとりと向き合い理解するために、 信頼性が高く分かりやすい情報を発信します。