自分らしく生きるための2つの私立学校
デンマークには公立の学校だけではなく、子供の個性に合わせた教育をおこなう私立学校もあり、その中の2つの学校をご紹介します。
「エフタースコーレ」で進路を考える
デンマークの子供が進路を決めなければならない15~16歳は、丁度、自立心が高まるときで、大人の考えに反発したくなるころでもあります。また成長は人それぞれなので、この時期になっても将来を決断する力が育っていない場合があります。すると、進むべき道を見つけられず、迷ったまま先へ進めなくなってしまいます。
そのような場合のために親から離れたところで自分を見つめ直し、進路を考える場所が用意されています。それはエフタースコーレと呼ばれる私立学校で、デンマークのおよそ30%の若者がその学校に通い進路先を考えます。学校は1年間の全寮制であるため、入学後はさまざまな生徒と1つの部屋で寝食を共にすることになります。その経験は若い世代の意識を変えるきっかけになったり、人生をじっくり考えたりすることにつながるようです。
保護者がつくる「フリースコーレ」
義務教育は、公立の国民学校だけでなく、「フリースコーレ」という私立の学校で受けることもできます。フリースコーレでは、子供を尊重し自由な環境の中での成長を見守るという教育方針があります。少人数制のクラスで構成され、教師と子供はしっかりとコミュニケーションをとりながら学びを進めます。
授業科目は音楽、美術、ダンスといった創造力を高めるものを重視し、多種多様な作業を取り入れながら学ぶところに特徴があります。芸術科目が増えることで母国語、数学などの授業は減ることになってしまいますが、公立学校を卒業した子の成績と比べてもあまり差は出ないようです。
フリースコーレの特徴は保護者主導のもとに設立された学校であるところです。教育は親と教師が一緒におこなっていくという考えがもとにあるため、学校の教育にも保護者の意見は多く反映されます。行事の企画や授業の構成作りにも加わり、教師と親が一丸となって子供を育てていく雰囲気が強いです。