体罰の問題点と体罰が容認される背景について。体罰をなくすには? ( 2 )

体罰が容認される背景

日本人の6割が体罰をしつけの一環として容認

子供支援専門の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンが、2017年に日本全国の20歳以上2万人を対象に、子供のしつけのための体罰に関する意識調査を行いました。その結果、回答者の約6割が、しつけの一環として体罰を容認していることが分かりました。特に「お尻をたたく」ことについては、「体罰は決してすべきではない」と答えた人も含め、全体の約7割の人が容認していました。


(参照元:子どもに対するしつけのための体罰等の意識・実態調査結果報告書|セーブ・ザ・チルドレン,P8,9)

では、なぜこれだけ多くの人が体罰を許容してしまっているのでしょうか? 調査の結果から、大人たちは即効性のある体罰に頼り、体罰によらないしつけの方法が分からなくなっている現状が浮かび上がりました。

子供をたたく理由について、回答者の6割が「口で言うだけでは、子どもが理解しないから」「痛みを伴う方が、子供が理解すると思うから」と答え、体罰が子供の理解を促すと考えている様子がうかがえました。しかし実際には、体罰で子供が行動を改めるのは問題を理解したからではなく、体罰という危険を回避するための条件反射にすぎません。また、「その場ですぐに問題行動をやめさせるため」に体罰をするという回答も2割に上りましたが、問題行動をやめさせるために最も有効なのは、子供自身がクールダウンをし、自分を見つめる余裕を取り戻させることでしょう。

(参照元:子どもに対するしつけのための体罰等の意識・実態調査結果報告書|セーブ・ザ・チルドレン、P11)

体罰禁止の法整備の遅れ

世界に先がけ体罰防止に取り組んだ北欧の例から、体罰禁止の法制化と啓発運動が、体罰を減らすのに非常に有効であることがわかっています。そのため、全世界54ヶ国で、日本に先立ち体罰禁止が法律に盛り込まれました。日本政府は、国連子どもの権利条約委員会より、体罰の全面禁止を法制化するよう何度も勧告を受けてきました。しかし、体罰容認論が根強い日本では、なかなか議論が進みませんでした。

その状況を一気に変えたのが、2019年1月に起きた、千葉県野田市の小学4年の虐待死事件でした。同年6月19日、親による体罰禁止を盛り込んだ改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が成立しました。