体罰の問題点と体罰が容認される背景について。体罰をなくすには?

2019年6月、親の体罰禁止を盛り込んだ改正児童虐待防止法が成立しました。なぜ家庭内の問題である親の体罰が、法律で禁止されなくてはならないのでしょうか? 体罰の問題点と体罰禁止法制化までの背景、体罰によらないしつけの方法について考えてみましょう。

体罰が問題となる理由

子供に身体的・心理的ダメージを与える

体罰は子供の体を傷つけるだけでなく、心も傷つけます。親子関係は子供が最初に築く対人関係であり、社会との関わりの基礎となります。体罰による子育ては、その基礎となる親子関係で信頼関係を築くことができず、親に対する愛着の代わりに恐怖心を植え付けてしまいます。ゆがんだ親子関係は、社会に対する反発や、逆に盲目的な服従となって表れ、健全な人間関係を築くことができません。

子供の自主性を喪失させる

体罰は、相手に対する恐怖心を利用して子供の行動をコントロールする行為です。つまり、子供の行動を左右しているのは恐怖心であり、子供自らの意思ではありません。子供は思考を停止させ、体罰を行う相手に言いなりになれば、また痛い思いをしなくて済みます。しつけの最終的な目的は、子供が社会で自立して生活していく力をつけることのはず。しかし、体罰は、子供の自立に最も大切な自主性や積極性を喪失させてしまいます。

体罰以外の指導やしつけの方法がわからなくなる

体罰を用いると、子供は恐怖心からすぐに言うことを聞きます。体罰によらない他のしつけ方法の中でも、これほど即効性のあるものはありません。したがって、体罰に頼った子育てをしていると、体罰以外のしつけの方法が分からなくなってしまいます。

体罰はエスカレートしやすい

体罰は、子供が怖がらなければ、大人が期待する効果をもたらすことはできません。最初は手を振りかざしただけで子供が怖がっていても、同じ手を何度も使っていると、子供は怖がらなくなってしまいます。すると、子供がもっと怖がる「より効果的」な手段を使わなくてはなりません。こうして、体罰はその効果を保つために次第にエスカレートし、ときに取り返しのつかない結果を生むことになります。

子供も問題解決の手段として暴力を用いるようになる

子供の手本となるべき大人が体罰をすると、大人が意図するかどうかにかかわらず、子供は問題解決の手段として暴力を用いても構わないと学習します。そのため学校でケンカやいじめなどの問題行動を起こしやすくなります。将来大人になって自分が子育てする際も、自分が親にされたのと同じように、子供に対して暴力を振るうようになります。