2020年から小学校でも外国語教育が必修化されることになりました。英語を学ぶことはこれからの社会で活躍する上で必要不可欠になっています。そんな英語学習の一歩先を行くのがイマージョン教育で、日本では取り入れている学校の数こそ少ないものの注目を集めつつあります。今回の記事は、イマージョン教育の概要とメリット・デメリット、イマージョン教育を導入している小学校の紹介の3本立てです。
もくじ
イマージョン教育とは?
イマージョン教育は、まだ習得していない言語を学習する方法の一つです。イマージョンは、英語のimmerse(浸る)が語源になっており、名前の通り外国語の言語環境で学習をし、言語を学習のツールとして使うことで言語習得を目指すものです。
具体的には、外国語を習得するために、外国語の文法や発音を学習するのではなく、外国語を使って学習を進めていく中でトライ&エラーを繰り返しながら外国語を身につけていく実践的な学習方法です。また、イマージョン教育では習得する言語は英語に限りません。
イマージョン教育の起源
イマージョン教育は、カナダのモントリオールのセントバード小学校の保護者により提唱され、1965年にスタートしました。
カナダのモントリオールがあるケベック州では、フランス語話者が多く、英語を母国語とする子供たちはフランス語を話すカナダ人の文化や、伝統に触れることができませんでした。そのため、フランス語を話すカナダ人の文化や伝統も理解してほしいという保護者の願いでフレンチ・イマージョン教育が始まりました。
現在では、アメリカ合衆国を中心に世界各国に広がりフランス語、スペイン語、日本語、中国語、ドイツ語などさまざまな言語のイマージョン教育が行われています。
参考
イマージョン教育の目的
イマージョン教育の目的は、4つに分けることができます。
- 第二言語(目標言語)能力の習得
- 地域学区の規定する教科学習の達成
- 異文化受容姿勢の育成
- 母語の発達
日本で注目されているのは英語のイマージョン教育ですが、第二言語能力の習得が目的で導入されるケースがあります。また、インターナショナルスクールと異なり、その地域(国)の規定に沿った学習が進められます。そして、母国語と異なる言語を話すことで、異文化に対する理解を深めることができます。さらに、母国語も「国語」という形で授業を行うので、母国語の発達も目的にすることができます。
完全イマージョンと二言語同時学習の違い!
イマージョン教育には、完全イマージョンと二言語同時学習の2つがあります。完全イマージョンは、授業のほぼ100%を目標言語(習得したい言語)で読み書きするスタイルです。会話だけでなく、読み書きも目標言語で行い、主流言語(日本であれば多くの場合日本語)での読み書きは目標言語の後から始められます。
二言語同時学習は、目標言語と主流言語を組み合わせて行います。日本の場合は、英語と日本語の組み合わせで行っている学校が多いです。これは、2つの言語での読み書きが行える言語能力を獲得し、他の科目も二言語同時学習を受けていない子供と同じ程度まで達成することができます。
参考