AIで社会が変わる
プログラミングが小学校で必須になるのは、今後の社会の変化を見据えている面もあります。AIが台頭することで、大きく変わっていく社会。どのように変化するのか見てみましょう。
AIでなくなる可能性が高い仕事
今の子供が大人になるころ、AIの台頭によって、なくなる仕事が増えるといわれています。
英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授の論文『雇用の未来』によると、コンピューターに取って代わられる確率の高い職業として「銀行の融資担当者、レジ係、電話オペレーター、ホテルの受付係、保険の審査担当者、ネイリスト、塗装工、建設機器のオペレーター」などがあります。
今では当たり前のようにある職業が挙げられていますが、既にコンピューターが活躍している分野もあるでしょう。近い将来、幅広い業種で、さまざまな職種の仕事が今後AIに取って代わられるようになります。一方で、新たに生まれる仕事もあるでしょう。
社会のIoT化
もう一つ考えておきたいのが、今後社会のあらゆる場所でIoT化が進むことです。
IoTとは、「Interner of Things」の略で、「モノのインターネット」という意味。掃除機、洗濯機、照明、家の鍵など、さまざまなモノがインターネットにつながれ、お互いの情報や機能を補完したり、共生し合うことをいいます。
2020年には、IoTの市場規模は30兆ドルに上るといわれています。今ではまだ家庭に導入されていない方もいるでしょうが、今後急速にIoT化は進んでいくとみられています。子供たちの時代には、Iotがより身近になっていることでしょう。
プログラミングでできる仕事
AIやIoT化が進む社会ですが、ソニー生命保険会社の「中高生が思い描く将来についての意識調査2017」によると、男子中学生・高校生ともに、将来なりたい職業1位は「ITエンジニア・プログラマー」でした。社会の変化とともに、ITエンジニアへの意識が高まっています。
では、プログラミングを勉強すると、どのような仕事に就けるのでしょうか。
主な仕事が「システムエンジニア(SE)」と「プログラマー」。「SE」は顧客から要望をヒアリングして、システムの設計図を作ります。「プログラマー」はSEが設計した設計書を基に、プログラミング言語を使い、システムやソフトウェアを作ります。
プログラムというと技術面ばかり重視しがちですが、特にSEはコミュニケーション能力や老理的な思考能力なども必要とされます。
これ以外にもITエンジニアには、ブリッジSE、サーバーエンジニア、ネットワークエンジニアなどに細分化されます。
「デジタルディバイド」に注意
IT化が進む一方で、子供を教育する際に注意したいのが「デジタルディバイド」です。デジタルディバイドとは「情報格差」と訳されることが多いですが、情報通信技術(IT)を利用できる人とできない人の間に生まれる、経済、社会的地位、機会の格差のことをいいます。
自らITに触れたり、学んだり、発信することをしなければ、さまざまな面で格差が生まれてしまいます。今後の社会を考え、子供がITに触れる機会を作っていくことは必要でしょう。
子供がプログラミングを学ぶメリット
今後IT化が進むからこそ、いま子供にプログラミングを学ばせるべきか、迷うところ。いま習うプログラミング言語自体は、5年もたてば時代遅れになる可能性も高くなります。ただ、プログラミングの知識を身につける以外のメリットもあります。次の4つを見てみましょう。
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プログラミングを学ぶことで、子供はITを身近に感じることでしょう。苦手意識を感じたり、デジタルディバイドで損をするような機会も減らせます。今後広がるであろう、プログラム市場で働く可能性も得られるでしょう。
また、プログラミングはただプログラミング言語を学ぶだけではありません。「プログラミング思考」という、論理的な考え方を学ぶことができます。プログラミングを学ぶことで、論理的な段取りを考える思考が身につき、日常生活や仕事といった場面でも生かせるようになるのです。
プログラミングを学び、自分で新しいものを生み出す喜びと実感を得る子もいるでしょう。工作でも、音楽でも、美術でも同じですが、「自分で作れるものがある」という実感は子供に活力を与えます。新たなものを生み出す実感と手段を持つ子は、物事に対して意欲的になりやすくなります。
プログラミングでは、プログラム上のエラーであるバグが発生します。バグが起きると問題が発生している個所を見つけ、解決する必要があります。解決法を教わる、検索して調べるなどの手順を踏み、問題を自分で解決する能力を習得していきます。