核家族とは何?その意味や世帯の割合、問題視されている理由などを紹介 - cocoiro(ココイロ) - Page 2

核家族化は増えている?その原因について

核家族化はここ最近急に始まったことではなく、昔から続いているのです。ではなぜ、核家族が増えていると思われているのでしょうか? ここでは核家族化の原因についてご紹介します。

ライフスタイルの変化

昔は長男は家に残って両親と同居し、家業を継いだり地元で就職したりして、結婚後もそのまま親との同居を続けるのが当たり前でした。そして、次男以降の男子は家を出て独立し、女子は嫁ぐというスタイルが一般的でした。

しかし時が経つにつれて人々の考え方が変化し、「長男だけ両親との同居が決まっているのは不公平だ」「長男も親から独立して好きなように生活したい」という思いが生まれるようになりました。

現在では、どの子供もいずれは親から独立し、自身のライフスタイルを確立していくという風潮が主流となっています。進学や就職で地元を離れて新しい土地で新生活を始め、結婚して自身の家庭を築き上げた場合、自然と核家族が形成されていきます。

仕事の変化

戦前の日本は農村社会であり、農村社会では祖父母や息子夫婦、その子供が同一世帯に住む「多世代同居」が一般的でした。しかし戦後、高度経済成長期に突入して工業化や産業化が進み、それにともなって人々の仕事にも変化が起こりました。

人々は職を求めて農村から都市へと移り、夫は外で働き、妻は家で家事をしたり子供の面倒をみたりして、男女の役割分担が確立していきました。また、転勤をともなう仕事に就いた男性の数も増えていったため両親との同居は不可能になり、核家族世帯が増加したといわれています。

夫婦のみの世帯の増加

厚生労働省による「P.6 世帯構造別にみた世帯数の構成割合の年次推移」や現代ビジネスによる「図表1 世帯類型別世帯数の推移」のデータを見ると、夫婦のみの世帯の割合が年々増え続けていることが分かります。

厚生労働省の「P.6 世帯構造別にみた世帯数の構成割合の年次推移」のデータによると、2016年の時点で夫婦のみの世帯の割合は全体の23.7%を占めており、1986年と比較すると9.3%増加しています。

夫婦のみの世帯は、「DINKS(ダブルインカム・ノーキッズ)」のライフスタイルを選んでいる、あるいは諸事情からそうせざるを得ない場合が多いとされています。ちなみに「ダブルインカム・ノーキッズ」とは、夫婦共働きで子供がいないことをいいます。また、女性の社会進出もこれに関係しているといえるでしょう。

祖父母との近居の増加

核家族世帯の中には、両親との同居ではなく、同じ市区町村内に住む「近居」を選ぶ家庭もあり、その数は増加傾向にあるといわれています。

(参照元:【別添2】既婚者とその親との住まい方-「近居」を中心とした実態と将来意向-|国土交通省

上のグラフは、国土交通省が既婚者とその親との住まい方の実態をグラフにまとめたものです。この調査では「近居」を以下のように定義しています。

「近居」とは、住居は異なるものの日常的な往来ができる範囲に居住することを指すものとした。

(引用元:【別添2】既婚者とその親との住まい方-「近居」を中心とした実態と将来意向-|国土交通省

また、車や電車で1時間以内の範囲までとしています。このグラフは、既婚者の家庭とその親の近居は約52%となっていることを示しています。また、若い世代ほど親との同居率は低く、近居率が高くなっています。さらに、高い年代の既婚者の方が親の住まいから離れたところに暮らしていることも分かります。

なぜ核家族化が問題視されるのか?

核家族世帯は昔から多く、最近では親と同居しない代わりに近居を選ぶ人たちが増えていることが分かりました。では、なぜ核家族化が問題視されるのでしょうか? ここでは、その理由を解説します。

経済的な負担が増える

親と同居した場合、家賃や光熱費、食費といった生活費を折半できるなど経済的な負担が減りますが、核家族の場合は自分たちでそれをすべて賄わなければなりません。日常生活におけるちょっとした金銭面の援助も少なくなるでしょう。

経済的な負担が大きい分、夫婦共働きをしなければならないケースも出てきます。その場合、小さな子供は保育園などに預ける必要があるため、子育ての部分でのコストがかかるでしょう。

母親が育児に対する不安を抱えやすい

親と同居した場合は、祖父母に子供の面倒をみてもらうことができます。しかし、核家族の場合、育児はどうしても母親が中心になりがちです。我が子とはいえ、24時間つきっきりで子育てをすることはそう簡単ではありません。

両親や兄弟・姉妹、近所の知り合いなど、周囲に子育てのサポートをしてくれる人たちが少ない母親は、育児に対する不安を抱えやすいという研究結果があります。子育てで迷ったり悩んだりしたときに話を聞いてくれる相手がいない、大人と会話する機会が少ないといったことが、その不安に拍車をかけてしまうのかもしれません。

育児に関する不安を抱えている場合は、子育て支援センターや親子で参加できるイベント・ワークショップなどで解消するのも一案です。

参考

核家族における乳幼児期の母親の育児不安|藍野大学学術機関リポジトリ

家庭での教育力が低下している

核家族化にともない、家庭での教育力が低下しているといわれています。特に夫婦が共働きをしている家庭では、テレビやテレビゲーム、インターネットなど子供の室内遊びが増え、子供同士が自然の中で集団で遊ぶ機会が減っています。

親の労働時間の増加や過重な労働が生じることで、子供と一緒に過ごす時間がなかなか取れず、教育に十分手が回らないという親もいるようです。また、子供とどのように関わっていけば良いか分からないと悩む親も増えているといわれています。これらの要因が、家庭での教育力の低下につながっていると考えられます。