地方教育行政の組織及び運営に関する法律の内容と最近の改正を解説 - cocoiro(ココイロ) - Page 3

平成26年の改正内容とは?

地方教育行政の組織及び運営に関する法律について調べていて、平成26(2014)年に大きな改正が行われたということが気になっている人もいるかもしれません。このときの改正について解説します。

教育委員会制度を約60年ぶりに見直した

昭和23年に成立した教育委員会制度をおおよそ60年ぶりに大幅に見直すものである。具体的には、「教育委員長」と「教育長」を一本化した「新教育長」の設置、地方公共団体の長による大綱の策定、総合教育会議の設置、国による関与の見直しである。

今回の改正は、地方教育行政における責任体制の明確化、迅速な危機管理体制の構築、地方公共団体の長と教育委員会との連携の強化を図るものとして、地方教育行政における首長の権限の強化が主な内容となっている。

(引用元:地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律 5 研究所資料No.114  | 地方自治総合研究所 159ページ)

改正前は、教育委員会には教育委員長と教育長という役職がありました。教育委員長は文字通り教育委員会の長で、教育長は実務の責任者という役割分担です。この2つの役職をまとめて教育長とし、教育委員会に対して自治体が介入しやすい仕組みを作ったというのがこの法改正の趣旨です。

改正の経緯

教育委員会は、第2次世界大戦後に日本の教育を民主化するという取り組みの一環として作られた組織です。そのため地方自治体から、ある程度独立性のある組織として存在していました。それに対して自治体の介入を、よりしやすくするような法改正が行われた理由の一つには「教育委員会が形骸化している」という反省がありました。

特に大きなきっかけとなったのは、2011年に発生したいじめ自殺問題であったと言われています。教育委員会が問題の当事者とは思えないような対応を繰り返したことから批判が巻き起こりました。全国的な問題として「教育委員会が機能していないのではないか」と議論される発端となったと言えます。

これらの議論を受けたのが2014年の改正です。教育現場での問題を自治体が感知したときに、より素早く対処できるような仕組みを構築したのです。一方、教育長に権限を集約させたり、自治体が介入しやすくなったりすることが果たして良いことなのかは、法改正後から繰り返し問題提起されています。

参考

地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律 5 研究所資料No.114  | 地方自治総合研究所

教育委員会の改革、焦点は何?/大津いじめ自殺事件きっかけに議論(THE PAGE) | Yahoo!ニュース

大津市いじめ第三者委報告<要旨> | 京都新聞

まとめ

地方教育行政の組織及び運営に関する法律という聞き慣れない名前の法律ですが、調べてみると子供の教育に深く関わる内容でした。子供の教育について、特に公立校の運営や問題点について関心がある方は、一度法律の内容にも目を通してみてはいかがでしょうか。

参考

地方教育行政の組織及び運営に関する法律 | 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

地方教育行政の組織及び運営に関する法律 | Wikipedia

教育委員会法 | Wikipedia

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度) – 学校と地域でつくる学びの未来 | 文部科学省

この記事をかいた人

akahoshitomoka

piggiesagogoクロシェター・ライター。 オリジナルの編み物作品の作り方を販売しながらライターもしています。守備範囲はハンドメイドから不動産まで。三浦半島が好きです。