学校教育法に定められている内容とは。学校の種類、一条校とは何? - cocoiro(ココイロ)

学校教育法という法律をご存じでしょうか。教育の原則的な考え方を定めた教育基本法を基に、学校教育について細かい決まりを定めた法律です。日本には学校がたくさんありますが、ほとんどすべての学校はこの学校教育法に定められた方法で設置、運営されています。日本に暮らす人には身近な学校教育ですが、学校教育法はよく知らないという人も多いでしょう。本記事では学校教育法の概要・定められた学校の種類について解説します。

学校教育法とは

まずは学校教育法が作られた背景から見ていきましょう。学校教育法は戦後から現在に至る教育政策を形成するのに大きな役割を果たした法律です。

日本の学校教育を体系立てて定める法律

本来教育は家庭でもできますし、私塾でも子供にものを教えるのは可能です。しかし、現代の日本では「教育」と「学校」は切っても切れない関係にあるように感じられます。これは義務教育を学校で行うと定めている日本の法体系が少なからず影響しているといえるでしょう。

教育に関する法規の中で、この学校教育について特に詳しく定めているのが学校教育法です。学校教育法は1947年に公布・施行された法律で、戦前の学校教育を体系立てて再編する役割を担いました。

明治以降、日本の義務教育は「小学校」から出発しました。小学校がある程度全国に普及すると、その上に中等教育機関として「高等小学校」が設けられました。

一方で、他の中等教育機関として大学進学コースである「旧制中学校」や「旧制高等学校尋常科」もありました。経済的に余裕のある家庭の女子は「女学校」へ通うこともありました。このように、対象年齢が同じで仕組みの違う学校が複数あり、学校制度は非常に複雑でした。

学校教育法で「6・3・3・4」制に

学校教育法はこれらの学校制度を整理し、小学校(6年)・中学校(3年)・高校(3年)・大学(4年)という「6・3・3・4」制に一本化しました。このことにより、学校教育全体を見通してカリキュラムを作成しやすくなったのです。

ただし、現代ではまた学校教育も複雑になりつつあります。1961年には高校と高等教育を一貫して行う「高等専門学校」、1976年には高等教育機関として「専修学校」が誕生しました。1998年には中学と高校を1つの学校として設置する「中等教育学校」、2016年には小学校・中学校を1つの学校とする「義務教育学校」が作られています。

参考

学校教育法 | Wikipedia

学校教育法で定められていること

学校の種類

続いては、学校教育法の内容を見ていきましょう。学校教育法で最初に定められているのは学校の種類です。特に、第1条に定められている学校のことを「一条校」、第一条以外の場所で定められている学校のことを「非一条校」と呼びます。同法の第一章の第一条は次の通りになっています。

この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。

(引用元:学校教育法 第1条 | 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

それぞれの学校の種類についても解説していきます。

学校の設置者

この法律で、国立学校とは、国の設置する学校を、公立学校とは、地方公共団体の設置する学校を、私立学校とは、学校法人の設置する学校をいう。

(引用元:学校教育法 第2条2項 | 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

学校を設置できる設置者についても定められています。特に一条校は誰でも設置できるわけではありません。一条校を設置できるのは国(国立)・自治体(都道府県立もしくは市町村立)・学校法人(私立)のみです。

非一条校はそれ以外の個人や法人も設置することができます。次に専修学校の例を見てみましょう。

専修学校は、国及び地方公共団体のほか、次に該当する者でなければ、設置することができない。

一 専修学校を経営するために必要な経済的基礎を有すること。

二 設置者(設置者が法人である場合にあつては、その経営を担当する当該法人の役員とする。次号において同じ。)が専修学校を経営するために必要な知識又は経験を有すること。

三 設置者が社会的信望を有すること。

(引用元:学校教育法 第127条 | 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

非一条校の設置者に求められているのは経済基盤や専門知識、社会的信用などとなっており、私立でも学校法人を作る必要はありません。

参考

「学校法人」ってなに?|日本私立大学協会

義務教育

第十六条 保護者(子に対して親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。以下同じ。)は、次条に定めるところにより、子に九年の普通教育を受けさせる義務を負う。

第十七条 保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。ただし、子が、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまでに小学校の課程、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部の課程を修了しないときは、満十五歳に達した日の属する学年の終わり(それまでの間においてこれらの課程を修了したときは、その修了した日の属する学年の終わり)までとする。

(引用元:学校教育法 第16-17条 | 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

日本には義務教育があるということは、日本国憲法や教育基本法の中でも定められています。しかし、具体的な内容はこれらの法律では触れられていません。義務教育が小学校・中学校の9年間であるということは学校教育法によって決められています。