全教科を英語で学ぶ!イマ―ジョン教育のメリット・デメリット

全教科すべて英語で!イマ―ジョン教育のメリット・デメリット

もしも英語が堪能になりたければ、英語に囲まれた環境に身を置くのが一番です。それを分かっていながらも、留学には二の足を踏んでしまう人は多いでしょう。ところが、海外に行かなくても英語だらけになれる生活が日本にもあります。英語の力をつけ、グローバルな人間への成長を目的としたイマージョン教育です。現在その教育法を取り入れた学校は世界各国で増え続けており、英語に囲まれる生活を実現させています。そのイマ―ジョン教育の内容とメリット・デメリット、実践校の様子についてご紹介していきます。

イマ―ジョン教育とは?

英語を学ぶというよりさまざまな場面で「使う」ことを目的とした教育で、国語以外のすべての授業は英語で行われます。英文で書かれた数学の教科書を読み、英単語が並ぶ板書を英語でノートに書き写す、まさに英語漬けの学校生活です。イマ―ジョンは「浸す」という意味をもち、この言葉を冠した教育法は英語に浸ることを目指して生まれました。

イマージョン教育は、英語を生活の中で使うツールとして利用することで、より磨かれた英語力を身につけることを目的としています。イマ―ジョン教育の誕生は1965年のカナダです。子供にフランス語を習得させたいと考えた保護者の働きかけによって始まり、今では世界各国の学校で効果の高い語学学習法として取り入れられています。

英語漬けのメリットとデメリット

学校に一歩入ったら英語だけの世界になるイマ―ジョン教育。その内容を調べ、長所と短所について詳しくみていきましょう。

大きな2つのメリット

・ネイティブな英語に触れられる

学校には外国出身の教師や英語力に優れた教員が揃っており、校内生活のほぼすべての場で高いレベルの英語に触れ続けることができる環境になっています。発達段階にある子供の耳に絶えずネイティブ英語を入れることで、生きた英語の発音を習得していくことができます。

・多様性を知り、広い視野をもてる

日本語以外の言葉を知ることで、意識は日本を飛び出して世界の国々の存在を認識するようになります。多種多様な人種、文化、風土があることを知ることにより広い視野が生まれます。それは、世界を相手に活躍する人間になるための必要な条件でもあります。子供の将来を日本に限定せず海外での生活も考慮しているのなら、幼いときから多様性を理解させることは大切です。またそれは、子供自身が進路を決定する立場になったとき、進む道の選択肢を広めることになるでしょう。

3つのデメリット

・家庭内でのフォローが難しい

子供の英語力が上がるにつれ、家庭内でのフォローに困難が生じるようになります。保護者の英語レベルにもよりますが、子供だけがネイティブな発音を使って、複雑な熟語を使えるようになると、家庭での会話にひずみが生まれます。宿題を手伝うときや学校との連絡のやりとりにも、保護者の苦労がともなう場面が出てくるかもしれません。

・英語と日本語の学びが中途半端になる

発達途中である子供は母国語である日本語の習得も未熟な状態です。そこに違う国の言葉が入ってきて一緒に学んでいくのですから、言葉の受け入れの許容を超えてしまう場合があります。子供の個性や能力によっては、どちらの言語の習得も中途半端になってしまう可能性は否定できません。

・子供が英語への興味を失う

習い事や友人関係など子供の行動範囲が広まり英語を使わない環境にいることが増えてくると、英語に囲まれる生活に疑問をもつ場合があります。成長し交流関係が変わることで英語を使うことへの興味を失い、イマ―ジョン教育を受けることに嫌悪を示すようになる場合も出てきます。また、学校によっては国内で認められた卒業証明書が出ないことがあるので、進路の変更を考える時期が訪れるかもしれません。

イマージョン教育をしている学校

実際にイマージョン教育を実践している学校では、どのような教育がおこなわれているのでしょうか。海外の学校、日本の学校についてご紹介していきます。

海外でのイマージョン教育

日本では主に英語を主体としたイマージョン教育が行われていますが、海外ではフランス語、スペイン語、中国語などさまざまな言語を使った教育が実践されています。

アメリカのある公立小学校を例にとり、説明していきましょう。
その学校のイマージョン教育のコースは2つあり、フランス語とスペイン語のどちらかを選ぶことができます。日本出身の子供がフランス語のコースを選択した場合は、フランス語とスペイン語、それぞれを担当する二人の教師に学ぶことになります。クラスは2つに分けられ、教師は曜日ごとに受けもつクラスを交代します。ですので、子供は日によってフランス語かスペイン語、どちらかの言葉だけを使った環境に身を置いて学習しています。

日本のイマージョン教育

日本でも熱心にイマージョン教育をおこなう学校が増えてきています。その中に1985年の設立以来、国際的な子供の成長を目的とした英語教育に力を入れてきた学校があります。神奈川県の相模原市に校舎をもつ「ICA国際小学校」では、その教育の高さが認められ、現在は国から正式な認可を受けた小学校となっています。

世界で活躍できる人材の育成のため、個性を生かしコミュニケーションをとれる人に育てることを目標にして以下のことを実践しています。

■日本の文化を大切にし、国語力を高める
国際人として生きるためには日本人の誇りをもつことは重要だとし、学習の中で日本の歴史、文化に触れられるようなカリキュラムが盛り込まれています。また母国語である国語力を高めるため、語彙を増やすような授業や作文の指導があります。

■多様性を知り、個性を生かす
人はそれぞれに違っていて、個性には大きな意味があるという教育の信念があります。そのため、「多様性」を認め広い視野をもった子供に育てるためのプログラムが用意されています。教師は子供とのコミュニケーションを大切にし、1人1人の能力や発達に合わせた指導をしています。

また子供が自分の個性を表現する場が用意されています。好きなものや得意なことをみんなの前で披露することで、自分の個性を知りそれを生かしながら主体的に行動する力をつけていきます。

■多くの体験を通じて、感じる力と思考力を高める
主体的に人生を切り開いていくためには経験すること、感じること、考えることの体験が重要だとしています。自然に囲まれた場所での合宿や農業作業、日本の遺跡や建物見学など、さまざまな活動が年間カリキュラムに組まれ、多種多様な体験ができるようになっています。また、音楽や古典芸能に触れるためにコンサートが開かれるなど、芸術を知る機会が多いのもこの学校の特徴です。校内に置かれたたくさんのアート作品にも子供の感性を高めるヒントが隠されています。

まとめ:イマージョン教育で得るものは英語力だけではない

英語に囲まれた環境の中で英語の力を伸ばすイマージョン教育は、語学の力をつけるだけでなく、国際人としての成長をも促すものです。英語漬けになることによるデメリットも生まれますが、より良い人生を生きていけるような力をつけるメリットもたくさんあります。この先、子供に国境を越えた場所で生きるという選択肢を用意するためにも、イマージョン教育を考えてみてはいかがでしょうか。

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cocoiro編集部

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