教育ママが子供にとってマイナスになった例
教育ママが子供に悪影響を及ぼしたケースを『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』(毎日新聞出版)からご紹介します。
知佳さんは、「あなたは何としてでも良い大学に行きなさい」と物心ついたときから毎日ピアノの練習と勉強をさせられました。ピアノは夕食前に毎日約2時間、勉強は夕食後に毎日約4時間。成績が悪いと殴られ、成績が悪い子とは遊ぶことを禁じられます。中学2年生になると学校の勉強以外にも、英語やピアノの検定なども学習もするようになります。
体の震えが止まらなくなり、手にはいつも汗をかくようになった。頻繁にめまいもした。「今思えば、きっと、自律神経失調症だったのでしょう」と知佳さん。
(引用元:『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』おおたとしまさ(2015年7月)毎日新聞出版,P27)
地元の進学校に進学した知佳さんは、母親の干渉を弱めるために「母親が大喜びも怒りもしないレベルの大学」を受験し合格。中学塾への就職を機に家を出ました。同僚や上司、恋人に恵まれ幸せの日々を送る知佳さんでしたが、結婚後に「理由なき怒りや焦り」に悩まされます。その原因が環境の変化ではなく、「閉じ込めいた過去の記憶」のせいであることが分かり、心理カウンセリングを受けました。知佳さんが母親の呪縛から解放されたのは、30歳を過ぎてからだと言います。
参考
『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』おおたとしまさ(2015年7月)毎日新聞出版
Twitterで「教育ママ」を検索すると、以下のように否定的な意見が目立ちます。
教育ママで小学校時から塾に行かせ、家でも勉強させ、高校も大学も立派な偏差値のところを出て、有名な企業に勤めて、エリートコースに乗って、英語もペラペラで海外支社も任されて、うつ病になった友達がいる。どんなに出世しても、名誉を手に入れても、お金を手にしても自信にはならない。
— 自分探しイズム2 (@sinrizm02) April 5, 2018
(参照元:自分探しイズム2|Twitter)
子供を幸せにする教育ママとは?心がけたい3つのこと
教育ママには、「子供を幸せにする教育ママ」と「子供を不幸にする教育ママ」の2種類に分けられます。誰もが子供の幸福を願うもの。「子供を不幸にする教育ママ」も、「子供を不幸にしたい」と考えているわけではありません。「良かれと思って取った言動が結果的にマイナスに作用した」ケースがほとんどです。子供を不幸にしない、子供を幸せにする教育ママになるために、心がけたいことを3つのポイントにまとめました。
子供の自主性を大切にする
スイスイさんのように、「母親の敷いたレールを走る」ことがプラスに作用するケースは、あまり多くありません。子供は未熟ですから、ついつい「こっちの方がいい」と親が判断して物事を進めがちです。しかし、子供は未熟ながらも、親とは違う意見や考えを持つ一人の人間。一方的に親の意見を押しつけることは、子供の反発や自主性を奪うことにつながります。
「勉強しなさい」を連呼するよりも、自分から勉強するように仕向けたり、勉強に取り組むことを楽しいと思わせたりすることが重要です。子供の意見をすべて聞き入れる必要はありませんが、子供の意思を尊重することで「自分は大切にされている」と感じることができるでしょう。人生を左右するような大きな場面ばかりではないので、失敗してもリカバリー可能なときには子供自身に選択させるのもいいでしょう。
結果よりも過程を重視する
テストの試験や学期末の成績が以前よりも下がっていたら、「ちゃんと勉強しなかったの?」「どうしてできなかったの?」と思わず口に出そうになりますが、そこはグッと言葉を飲み込みましょう。子供は成績が悪かったことに対して、親同様もしくはそれ以上にショックを受けているものです。
結果だけで判断するのではなく、「家庭学習をおろそかにしていないか」「宿題をきちんとやっていたか」など、子供の努力を振り返りましょう。「どこが分からなかったのか」「どうして頑張れなかったのか」を共有することで、次につなげることが大切です。
子供を信頼し、寄り添う
子供には子供なりの考えややり方があります。「この方が効率的」と思っても、子供自身が拒めば単なる強制にしかなりません。子供の人生は親のためにあるのではなく、子供自身のものです。ときには子供のやり方を信頼し、見守ることも必要でしょう。
育児・教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は、著作『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』(毎日新聞出版)で、親ができることは「子供を励まして見守ることだけ」としています。
つい手を出してやりたくなってしまうことも多い。だが、求められてもいないのに親が子供のやることに勝手に手を出すことは、子供に「あなたは私がいないと何もできない」というメッセージを伝えることにほかならない。それではいつまでたっても精神的に自立できない。
(引用元:『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』おおたとしまさ(2015年7月)毎日新聞出版,P220)