そもそも社会教育とは?
ここまで、社会教育法について解説してきましたが、社会教育法が規定するところの「社会教育」とは、どんなものなのでしょうか?
社会教育の目的は、社会教育法に下のように明記されています。
学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基き、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーションの活動を含む。)をいう。
(引用元:社会教育法(昭和二十四年六月十日法律第二百七号)(抄)|文部科学省)
社会教育施設である公民館や図書館、博物館などで行われる学校教育、家庭教育を除いた組織的な教育を指します。
具体的な例としては、図書館にいろいろな人が訪れられるように聴覚障がい者向けの図書館利用案内DVDを作ったり、小学校の敷地内に社会教育施設を作り、地域の交流の拠点にしたり、公民館で人権教育講座や環境教育講座など、各市町村が必要としている講座を開くことなどが挙げられます。
社会教育については、こちらで詳しく説明しています。
社会教育と生涯学習の違い
最近、よく耳にする生涯学習という言葉と社会教育はとても近い意味で使われます。「生涯学習課」という部署がある役所も増えています。ただ、社会教育と生涯学習は、学習者の視点で言われている言葉かどうかという点で異なります。
社会教育は、学校教育を除く組織的な教育活動全般を指しています。教育行政には、学校教育、家庭教育、社会教育の3つがあります。これ以外に、自主的に読書をしたり、テキストで学ぶ自己学習があります。
生涯学習は、学校教育、家庭教育、社会教育、自己学習を含めたすべての学習のことを指しています。広島県教育委員会が説明に用いた図が非常に分かりやすいので、参考にしてください。
(参照元:生涯学習・社会教育とは|広島県教育委員会)
社会教育施設
社会教育施設には、公民館、図書館、博物館、青少年教育施設、女性教育施設、生涯学習センターなどがあります。
また、広い意味では、社会体育施設や民間体育施設、文化会館、保健所、老人福祉センター、児童館、カルチャーセンターやスポーツクラブなどの民間施設も社会教育施設になります。
社会教育施設の共通点として、教育機関であること、地域施設であること、教育専門職員が在籍していることなどが挙げられます。
社会教育専門職員
最後に、教育専門職員についてご紹介します。社会教育専門職員には、社会教育主事、公民館の主事、図書館司書、博物館学芸員、社会教育指導員、体育指導員が挙げられます。
社会教育主事は、教育委員会や公民館に配置され、専門的・技術的なアドバイスを行います。図書館司書や博物館学芸員は、それぞれ図書館や博物館に配置され、図書館の業務全般、博物館の業務全般を行います。この3つの専門職員は、必要な教育課程を履修し、各資格を得る必要があります。
また、社会教育指導員は非常勤公務員で、社会教育主事の資格を持っていることが求められます。体育指導員は、スポーツ振興法で規定されている社会体育指導者で非常勤公務員になります。
まとめ
社会教育法は、市民が学校教育や家庭教育以外で学びたいと思ったときに、自発的に学びの場や組織を作れるように規定した法律です。社会教育は、地域の実態に合った学びを行うことができ、地域の教育力を高めることも可能です。生涯学習の中核として位置づけられていることも分かっていると、今後地域で行われる学習を違った視点で見ることができるかもしれません。
参考
社会教育法(昭和二十四年六月十日法律第二百七号)(抄)|文部科学省
社会教育法 |一般社団法人部落解放・人権研究所
生涯学習と社会教育はどう違うのですか?|新潟県
第七節 社会教育|文部科学省
生涯学習・社会教育とは|広島県教育委員会
1分で分かる!社会教育・生涯教育・生涯学習|岩手県