社会教育の取り組み例
ここまでは、社会教育の定義や歴史を振り返ってきました。ここからは、身近な生活の場面で社会教育がどのように展開されているのかをご紹介します。
公民館
2017年の福岡県福岡市の公民館の活動をご紹介します。福岡市の公民館では「市民がさまざまな学習を通して、自律的に、豊かに生きていける社会」の実現を目指して、人権問題、防災・防犯など地域課題解決のために、定期的に講座を実施しています。
講座は、子育てに関する内容や、男女共同参画学習講座、環境問題学習講座、高齢者地域参画支援講座など、地域の課題を解決するための内容、家庭教育、乳幼児のふれあい、子育てサポーター養成など家庭や地域の教育力を高めるための内容など、多彩な内容の活動が行われています。
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図書館
図書館は、人々が集まり学ぶには欠かすことができない公共の場です。ここでは、文部科学省がまとめた図書館の実践事例をご紹介します。
沖縄県豊見城市立中央図書館では、市内小中学校との連携を図り、ブックトークで出前授業を行っています。ブックトークを行うことで、子供たちがブックトーク以前よりも本に対する関心を高めたり、図書館を利用する子供が増えているという成果が出ています。
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東京都の八王子市中央図書館では、聴覚障害のある方にも図書館を気軽に利用できるようにと、手話による図書館利用案内のDVDを作成しています。映像は、2013年にYouTubeでも公開されているので気軽に見ることができます。
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同じく東京都の北区立中央図書館では、赤レンガ倉庫をリノベーションして長く滞在できる図書館をデザインしました。1階総合カウンターの前の吹き抜け部分には、旧倉庫の壁面を残しており、講演会やコンサート会場としても利用されています。また、吹き抜けの構造になっており、開放感を感じることができるデザインにも注目すべきでしょう。
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地域学校協働活動
社会教育で、地域と学校が協働になって活動している実践例もあります。福岡県嘉穂市立下田小学校の敷地内には、ホールや会議室、調理場といった社会教育施設が併設されています。こうすることで、学校敷地内が地域コミュニティの核となり、地域住民と小学生との交流を促進しています。
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2.生涯学習・社会教育に関する施策・事例等|文部科学省,P32
人権教育
また、公民館や市民センター、図書館などは、人権教育も行われています。一般市民向け、学生向けなど対象はさまざまです。また、体験型やワークショップ型のように、ただ聞くだけではなく、より理解を深めるための学習の仕方も工夫が凝らされています。
東京都の実践例では、「子どもにもたせる携帯電話の危険性とは!」という講座名で、「いじめ」や「いのち」についてワークショップを行い、関係動画を視聴した後に、家族で携帯電話を利用するルール作りの話し合いを参加者で行っています。
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2.生涯学習・社会教育に関する施策・事例等|文部科学省,P35
人権教育以外にも、環境教育や消費者教育、持続発展教育など、実に多様なテーマで社会教育が行われています。