貧困による子供たちの教育格差。対策や取り組みについて紹介 - cocoiro(ココイロ) - Page 2

教育格差によって引き起こされる問題

教育格差によって引き起こされる問題には、何があるのでしょうか。「子供の貧困」と聞くと、日本ではあまり関係ないと思う方もいるかもしれませんが、実は、とても身近な問題となっています。貧困世帯では教育格差が生まれ、子供が大きくなってからも就職や結婚に大きな影響を与えるといわれています。日本の貧困が与える教育格差によって引き起こされる問題について、それぞれ紹介します。

進学格差

義務教育は私たちに与えられた権利の一つですが、中には私立の学校へ通ったり、進学塾へ通ったりする子供もいるでしょう。しかし一方では、学校外における教育費にかけるお金がなかったり、家庭の収入状況を見て、高校進学や大学進学を諦めてしまう子供もいるといいます。

貧困であるということは、子供の成長に大きな影響を与えることになり、学力や精神面にも影響を及ぼします。塾や家庭教師、習い事などには多額な費用がかかりますが、高校や大学進学となると、さらに教育費も大きくなります。学費を払うことができずに大学進学を諦めたり、進学するために高校生のうちからアルバイトをする子供もいるかもしれません。教育格差によって、進路の選択肢が狭くなる「進学格差」が生まれてしまいます。

将来の収入格差と社会的損失

両親が経済的に余裕がない場合は、子供の学習の機会、さまざまな体験活動の機会を諦めることになります。そのため、教育を受ける機会に恵まれずに低学力・低学歴になってしまい、将来職に就く際も所得の低い職業を選ぶことになってしまいます。さらに、その子供にも貧困の連鎖が続いてしまい、収入格差による社会的損失といった社会問題へと発展してしまいます。

子供の貧困問題は「自分にはあまり関係がない」と思う方もいるかもしれませんが、貧困状態の子供が大人になると、生み出す所得が減ることになり、日本経済の規模も縮小することになります。その結果として、政府の税収や社会保険料収入も減少し、生活保護や失業給付、職業訓練といった政府の支出をまかなう税負担が増えることになります。

精神面にも影響を及ぼす

教育格差は学力だけではなく、子供の精神面にも影響を及ぼしているといわれています。教育格差は貧困によって生み出されるものと前述しましたが、それにより、子供が遠慮がちになってしまったり、自尊心の欠如を引き起こすことも考えられます。貧困世帯では親自身も精神的な余裕がなく、子供を否定するような言葉で苦しめてしまうケースもあるといいます。「うちにはお金がないから我慢しなさい」と言われると、敏感な子供は察してさまざまなことを諦めるようになってしまいます。自分で自分の可能性を否定し、将来に対する希望を見失いがちになってしまうのも、貧困による教育格差が引き起こす問題の一つです。