近年、日本の学校では「ICT教育」という言葉をよく耳にするようになりました。ただ、そもそもICT教育とはどのような教育を指すのでしょうか? 今回の記事では、文部科学省の実践例などを基に、ICT教育とはどのような教育を指しているのかを具体的にご紹介します。また、そこから見えてくるメリットやデメリットにも触れています。ICT教育をより深く理解する一助となれば幸いです。
もくじ
ICT教育とは?
そもそもICTは、Information and Communication Technologyの頭文字を取った言葉で、情報通信技術のことを指します。具体的には、学校や教室内でテクノロジーを使ってコミュニケーションをとるということです。
具体的には、プロジェクターを使って画像や動画、図形などを拡大投影したり、生徒がタブレットを利用して教師とやりとりをしたり、一瞬でクラスみんなと情報を共有したり、電子黒板を利用して生徒へ説明を行うことなどが挙げられます。
文部科学省によると、ICTの活用は、下記の2つに目的が分けられています。
- 情報活用能力を育成するため
- 教科の学習目標を達成するため
参考
第5章 初等中等教育における学習指導でのICT活用|文部科学省
日本の教室の風景は150年前から変わっていないと言われており、ICTを活用した教育は10年、20年先の社会で活躍する子供たちのためには、必要不可欠なことだと言えるでしょう。
ICT教育の実践例
それでは具体的なICT教育の実践例を各校種ごとにご紹介していきます。実践を知ることで、文言だけでは理解しづらい内容も分かりやすくなります。ぜひ学校の実践例と子供が通う学校の現状を比較しながら読み進めてください。
幼児教育
就学前の段階でも、子供たちはスマートフォンやタブレットを操作しています。ICTの活用で有名なのは、鹿児島県のつるみね保育園です。つるみね保育園は、「9割のアナログ保育と1割のデジタル保育」の実践を行っています。
プロジェクターで拡大投影した写真を使って、園児がプレゼンテーションをする活動が取り入れられています。また、Pepper(AIロボット)も園内に導入されており、AIロボットとも身近に触れ合える環境があります。
また、佐賀県にあるたかぎし幼稚園では、ICTタイムという時間があります。「友達と協力する」「自分を表現する」「豊かに活動する」という道具としてICTを使いこなしてほしいという願いから実践が進んでいます。遠くの幼稚園とオンラインでつないで交流したり、タブレットを使ってグループで絵本を作ったりという活動がされています。
参考
1台のiPadから始まる未来創造カリキュラム デジタル活用した保育の実践|パステルIT新聞
小学校
小学校では、文部科学省のホームページで具体的な活用の例が示されています。例えば、児童の関心や意欲を高めるためにICTを活用する場合は、下記のような実践例が挙げられています。
小学校6年生 理科「月と太陽」
月の表面の様子について、児童生徒に驚きや感動を与えるように、プロジェクタや大型テレビを活用して、大画面で鮮明な映像を提示する。
(引用元:第5章 初等中等教育における学習指導でのICT活用|文部科学省)
理科や社会の授業内容は、学年が上がるにつれて身近なものから離れていきます。理科の月や太陽に関する授業は、実物に触れることは難しく、映像や写真などのICTを活用することで学びを深める効果があるでしょう。また、思考や理解を深めるための実践として、下記のような例が挙げられています。
小学校3年生~6年生 国語(書写)
プロジェクタや実物投影機等を活用して毛筆の模範を提示し、穂先の動きや点描のつながりを意識して描かせるようにする。
(引用元:第5章 初等中等教育における学習指導でのICT活用|文部科学省)
手先の細かな動きをクラス全員に共有するには、プロジェクタや実物投影機等は有効だと考えられます。