小学校の英語教育義務化のデメリット
小学校の段階で英語を必修化には、覚えやすい・コミュニケーション能力が高くなるなどのメリットをもたらします。その反面、小学校で英語を必修化にすると生じるデメリットがあるのが現実。課題も浮き彫りとなっています。
この章では、英語を小学校で学ぶデメリットについて触れていきましょう。
日本語力がおろそかになる
小学校は、生活の基本となる日本語の力を着実につける大事な時期。それと同時並行で英語を習得するとなると、日本語力がおろそかになり、混乱する児童が出てくる場合もあります。
児童によっては、日本語も英語も中途半端になり、通知表の評価もいまいちになるかもしれません。その負のスパイラルによって、勉強が手につかなくなるリスクも考えらえます。
ほかの授業のコマ数が減る
小学校で決められた全教科の授業時数内で英語の時間を増やすことは、理科・社会といったほかの授業のコマ数が減るということを意味します。そのため、年間でやるべき授業内容が中途半端になる可能性も出ていきます。
質の高い教師が確保しにくい
2019年現在の小学校における英語教育は、ネイティブの先生が中心となって授業展開されています。2020年に英語教育が義務化されるタイミングで、クラス担任が英語の授業を受け持つことになります。公立の小学校においては、専科の教師が小学生の英語を受け持つわけではないので、知っておくといいでしょう。
そのため、担任が英語のレベルがあまり高くないと、不安になる親御さんが出てくるのは言うまでもありません。質の高い教師を安定して確保できかどうかが課題として挙がっています。
参考・非英語圏における小学校の英語教育事情とは?
海外の非英語圏でも既に小学校の段階で英語教育を行っている国があります。
この章では、主な非英語圏の小学校の英語教育事情についてピックアップしてみましょう。
シンガポール
シンガポールは、アジア屈指の教育大国としても知られています。そのため、教育熱心な親も多いのが特徴。多民族国家ということもあり、小学校における母語(国語)の授業は、中国語・タミール語・マレー語のいずれかを選択します。算数や理科といった母語以外の授業は、全て英語になっているのがポイント。日本よりも早い段階から英語の習得に力を入れています。
そして、小学校にも卒業試験があり、その試験も英語か母語を選択。大学に入る前には、母語と英語を自由に操れるようになっています。
参考
シンガポールの英語教育について|一般財団法人自治体国際化協会
オランダ
オランダは、非英語圏の実施された英語のテストでも常に上位。2018年のEF(英語能力指数)に関しては、88の非英語圏の国や地域のなかでも2位をキープしています。
オランダの英語教育は、5歳児の義務教育開始からスタートしますが、9歳までは任意。しかしながら、オランダのほとんどの小学校では、第1外国語として英語を導入しています。
また、共通のカリキュラムはなく、学校が自由に最適なテキストを選べるのがポイント。加えて、英語に携わる教員に関してもCEFR(セファール:Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment)のB2レベル(英検準1級相当)に到達したレベルを持っていることを条件としています。
参考
EF 英語能力指数 – オランダ|EF EPI 2018
まとめ
2020年、日本の公立小学校で3年生から英語教育の義務化がスタートします。3~4年は、英語の導入という位置づけもあり、楽しみながら英語に触れます。そして、5~6年以降は、主要科目として通知表の評価の対象となり、英語4技能(読み・書く・話す・聞く)の向上を目標としています。
また、小学校での英語教育に関しては、習得が早い・グローバル化に対応できる・中学英語の移行がスムーズになるなどのメリットもあります。実際に英語教育がスタートしたら児童たちにどのような効果をもたらすか注目していきましょう。
参考
1 小学校における英語教育の現状と課題:文部科学省
今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~|文部科学省
小学校での英語教育における7つのメリットデメリット|やる気のライフハッカーズ!!
小学校英語教育の現状と2020年からの必修化の内容・問題点をわかりやすく解説!
各資格・検定試験とCEFRとの対照表|文部科学省