インクルーシブ教育とは何?メリットやデメリット、成功事例まで紹介 ( 2 )

インクルーシブ教育の成功事例

ここでは、国外のインクルーシブ教育の成功事例について紹介していきます。

エルサルバドル

エルサルバドルの事例では、単なる学校や学級内での支援にとどまらず、地域をも巻き込んだ障害を持つ子供への支援が実現しました。

ある感動的な話が、エルサルバドルから寄せられている。数少ないろう児の親たちが息子や娘の普通教育へのインクルージョンを支援する団体を組織したというのである。

親たちは子どもに手話を教えられる通訳者を雇う資金を募った。そして、耳が聞こえる同級生が手話の達人になれるよう、数人に手話を教えた。また、地域の学校でこの取り組みを支援した。その結果、地域の若者のグループが生まれ、子どもたちはこの若者たちとコミュニケーションを取り、同世代からの良い影響を受けられるようになった。これによりさらに、ろう児が普通学級に受け入れられ、通常のカリキュラムに参加できるようになった。

このプログラムの結果、ろう生徒の1人、パブロ・デヴィッド・デュラン・ヴィラトーロ(Pablo David Duran Villatoro)は、2009年にコンピューターシステムエンジニアとして大学を卒業し、エルサルバドル初のろう者であるエンジニアとなった。

(引用元:第5章 インクルーシブ教育への道:モデルとなる好事例|DINE

最終的には、ろう者でありながらエンジニアとして社会に出るまでの支援に成功しています。

カメルーン

カメルーンの事例では、地域を巻き込むだけでなく、障害者の就労支援にもつながったプロジェクトとなっています。

地域社会レベルでの改革の好事例がカメルーンから報告された。ITCIG-SENTTI(特別支援教育教員養成所)は2007年1月に特別な教育的ニーズのための教師の研修機関として、カメルーン北西部で始まったが、これはこの種の試みとしては国内初であった。地域の支援者とNGOのスピーレ・インターナショナル(Spire International)との連携により開始された特別支援教育教員養成所の第一の目的は、特別なニーズに対応する資格を持った教師の養成で、これらの教師が故郷の町や村に戻り、障害や特別なニーズのある児童を多数教育できるようにすることである。障害児の大多数は、アクセシビリティの悪さや資金不足、社会的なスティグマ、そして資格のない教師などが原因で、学校に通うことができないでいる。「特殊」学校へ行くことのできる数少ない障害児も、長距離を通わなければならなかったり、家族と別れなければならなかったりする。

プログラム卒業生について学校に宣伝し、その存在に気付かせることで、特別支援教育教員養成所は障害関連課題に対する地域社会の関心を高めている。地域の企業は、以前よりも障害者に対してオープンになり、障害者を裁縫師、美容院の助手、整備士、大工などの見習いとして採用している。これらはすべて、地域社会に受け入れられるためのさまざまな手段といえる。当初の成功とプログラムへの関心は、政府の注意をも引きつけることになった。2009年8月に政府は、特別支援教育教員養成所の卒業生200名を公立学校で採用し、障害児が教育制度に受け入れられるようにすると発表した。

(引用元:第5章 インクルーシブ教育への道:モデルとなる好事例|DINE

学内の支援にとどまらず、社会問題を解決できる可能性を秘めているのがインクルーシブ教育と言えるでしょう。

ザンジバル

ザンジバルの事例では、教育官僚がインクルーシブ教育を積極的に導入しています。

 ザンジバルのインクルーシブ教育は、教育官僚によるレソト訪問後に始まり、レソトの教育制度改革から刺激を受けた。ザンジバル発達障害者協会(ZAPDD)はノルウェー発達障害者協会(NFU)、教育職業訓練省(MoEVT)と連携し、ノルウェーの青少年団体である「オペレーション・デイズ・ワーク(Operation Day’s Work)」から資金援助を受けている。

教育職業訓練省はインクルーシブ教育政策を採用し、現在、政策実施のためのガイドラインの開発を進めている。この活動は、CREATE(NPO)による支援を受けている。

教育職業訓練省はまた、特別なニーズ教育ユニットの名称を、インクルーシブ教育ユニットに変更した。

さらに教育職業訓練省は、インクルーシブ教育をその新たな政策綱領(2006年)に盛り込み、2008年にはさらに20校にプログラムを拡大することを計画している。これは次年度以降も、定期的に継続される予定である。教員研修の定員も、インクルーシブ教育ユニットの拡大とともに増やされることになっている。

(引用元:第5章 インクルーシブ教育への道:モデルとなる好事例|DINE

要職者がインクルーシブ教育への関心を持ち、それを政策に導入すれば、国家の教育の方向性を変えることができるのです。要職者こそ、インクルーシブ教育への理解を深める必要があるのかもしれません。

終わりに

国家としてインクルーシブ教育を導入することも重要ですが、それを個々の教育現場で実施していくには障壁がいくつもあるようです。しかしながら、全ての子供が教育を受けることで、子供たちが多様性を学び、将来の糧となれば、インクルーシブ教育の価値も向上していくでしょう。

参考

共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告) 概要|文部科学省

「インクルーシブ保育」とは~魅力と課題を知ろう!~|保育のお仕事サポート

インクルーシブ教育|Wikipedia

第5章 インクルーシブ教育への道:モデルとなる好事例|DINE

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okamoto

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