教育のデザインを大きく変える教育工学とは?将来性と学べる大学も!

「教育」という言葉とは一見結びつきそうにない「工学」という言葉。実は、教育工学はこれからの教育を担っていく可能性を秘めている学問分野の1つと言われています。今回の記事では、教育工学とは何かをわかりやすく解説し、よく耳にするEdTechと教育工学との関係性や将来性をご紹介します。この記事で、教育分野に関心のあるお子さんの選択肢の幅が広がれば幸いです。

教育工学とは?

教育工学とはどんな学問分野なのでしょうか? 聖心女子大学教授の永野和男氏は、下記のようにまとめています。

教育における問題解決のための意思決定を支援する

1)基礎的知見

2)道具

3)技術

4)方法

5)あるいは問題の発掘や解決過程の解明を提供する学問

知見だけでなく、道具だけでなく、方法の開発も研究の成果である

(引用元:日本教育工学発展の20年を振り返る|日本教育工学会

また、日本教育工学会は2000年に下記の定義をしています。

教育改善のために実践的に貢献する学際分野であること, 教育成果を上げる技術・工夫を体系化していくことを目的とした学である

(引用元:教育工学の研究をしたい方へ|MARK-LAB.NET@KYUSHU-U

教育工学の定義はさまざまあり、狭い意味では学習を支援する道具の開発とその仕様技術を開発する学問とされることもあります。

教育工学とは、教育現場の課題に対して、教育者の養成ではなく教育者がどのような設計で教育を行うのか? どのようなツールを使うのか? どのように評価を行うのか? などを研究し開発する学問と言うことができます。

基礎研究分野は、教育学、教育心理学、学習科学、人類学、統計学、情報科学など多岐にわたります。

教育工学の成り立ち

教育工学の考え方は、産業革命以降に出てきた「ものづくりの自動化」を教育に当てはめたものです。産業革命以前は、何年も経験を積んだ熟練の職人がものづくりをしていました。しかし、産業革命が起き、大量消費社会を迎えるようになります。

例えば、自動車を生産する際に、1人の技術者が1台の車を完成させるのではなく、作業員が自分の担当の部分だけを作る流れ作業が考案されるようになります。流れ作業は、熟練した技術が無くてもできるため、大量の作業員を投入して、大量の車を効率よく生産することができるようになりました。

このプロセスは大きく下記の3つに分けることができます。

  1. 材料を計画に合わせて工場に投入する
  2. 工場で完成した製品を計画と照らして検査
  3. 問題が無ければ出荷

教育に置き換えると、下記のようになります。

  1. 子供を教育計画に合わせて学校に入学させる
  2. 教育を受けた子供を計画と照らし合わせて検査(学力テストなど)
  3. 問題が無ければ卒業(単位取得)

教育工学の変遷

教育工学の成り立ちから、「効率化」や「制御すること」が強調され、教育の機械化と誤解されることが多くありました。また、教育技術を体系的に蓄積してドキュメント化することもしていました。

その後、教育現場では一斉画一であることが問題視されるようになり、創造的な教育を行うための技術や方法の開発へと変化しています。また、インターネットの普及により、教育現場で使う視聴覚教材やコンピューターの活用についても研究・開発がされるようになっています。

教育機器からのアプローチ

ここまでご紹介したように、教育工学にはさまざまな研究分野があります。そのため、アプローチの方法もさまざまです。まずは、教育機器を活用したアプローチについてご紹介します。

近年のテクノロジーの発達・普及により教育に使う教具や機器などのハードウェアが変わってきています。これらの機器を活用して教育効果を高めることをゴールにしたアプローチ方法があります。

例をあげると、ノートや鉛筆ではなく、ラップトップやタブレットの利用といった情報技術の活用です。また、プロジェクターを使ったプレゼンテーションなどの視聴覚教材の活用があります。

これらの機器の使い方や運用を研究、開発していくアプローチが教育機器からのアプローチです。

学習理論からのアプローチ

学習理論とは、学習を「刺激」と「反応」の連合としてとらえることです。教育工学では、学習理論にもとづいて、教授と学習過程を科学的に制御しようと考えます。

例をあげると、教育目標の研究があります。教育目標を分類し課題を分類して、どのような学習効果が得られているかを研究します。また、アメリカのB・スキナーが提唱した学習者の積極的な反応を強化していくプログラム学習も教育工学の研究対象です。