引きこもりとは?子供の引きこもりの原因と親ができる5つのこと - cocoiro(ココイロ) - Page 3

引きこもりが長期化する場合は、次のステップへ

引きこもりが長期化した場合、親は見守りから次のステップへ進まなくてはなりません。ここでは、引きこもりが長期化したときの対応法をご紹介します。

引きこもりが長期化したときに気をつけること

引きこもりは病気ではありませんが、その原因として精神疾患が隠れている場合があります。家族には怠けているようにしか見えなくても、実は統合失調症やうつ病の始まりだったり、発達障害の可能性もあります。この判断は専門医でも難しいものです。一度は精神科医などの専門家に診てもらうとよいでしょう。

引きこもりの相談は、精神科?それとも心療内科?

結論としては、どちらでも引きこもりの相談が可能です。医者の対応はどちらもそれほど大きく変わりません。心療内科と精神科の違いは以下の通りです。

【心療内科】

主に内科医が担当。心理的な原因で身体に異常が現れる心身症が専門。心身症とは、心理的要因によって身体に不調をきたす病気の総称。主に原因不明の頭痛、腹痛、発熱、だるさ、疲労感など。

【精神科】

精神科医が担当。精神科はうつ病や統合失調症などの精神の病が専門。

精神科医の田村先生によると、精神科への偏見が強い日本では、心療内科という名前でも、実際には精神科医が診察している場合もよく見られるそうです。

引きこもりの原因が精神病によるものであれば、適切な治療が必要になります。

参考
『ひきこもり脱出支援マニュアル』田村毅・2014年・PHP研究所,P22~36,180~191

家族療法

引きこもっている子供が、自ら進んで相談を受けに来るケースは非常に少ないようです。家族が心配して相談を受けるように勧めても、頑なに拒否する子供が多く、ほとんどの場合は家族の相談が受診やカウンセリングなどのきっかけとなります。

なぜなら、家族療法は、本人のなかに問題があるという心理学の伝統的な考え方から発展させて、人と人との間(関係性)のシコリを見つけて、うまい具合に調整することによって問題を解決するからです。
本人がいなくても、家族と面談して何度か相談をすすめるうちに、親の関わり方が変わり、本人も変わってきます。

(引用元:『ひきこもり脱出支援マニュアル』田村毅・2014年・PHP研究所,P26)

田村先生は自著で「家族療法は引きこもり解決によく効く」と断言しています。家庭状況をより詳細に伝え、効果的なアドバイスを受けるためには、両親で相談に行くといいでしょう。

個人療法

子供自身がカウンセリングを受ける気持ちになれば、効果は期待できます。信頼できる医師やカウンセラーに自分の気持ちを語ることで、心が整理され、いろいろな「気づき」があるでしょう。家族以外の人と会話をする習慣や信頼関係を構築することは、子供にとって大きな自信になります。

家族のケアを忘れずに行う

子供が引きこもると、親は「育て方に問題があったのか」と自分を責めてしまい、献身的につくしてしまいがちです。常に苦悩を抱え、自分よりも子供優先の日々を送っていては、心身ともに疲弊してしまいます。子供に力を与えるには、家族が元気でいなくてはなりません。

仕事や趣味などでしっかり自分の世界を持ち、リフレッシュするようにしましょう。家族が明るく充実した姿を見せることで、子供は「家以外にも楽しめる場所があるかもしれない」と考えるようになります。

参考
『ひきこもり脱出支援マニュアル』田村毅・2014年・PHP研究所,P22~36,180~191

やってはいけない!子供への接し方

親の対応は子供に大きな影響を与えます。いったん関係がこじれてしまうと、子供の心を傷つけ、自分の殻に閉じこもるきっかけにもなります。ここでは幼少期から思春期くらいまでの親のよくあるNGな接し方をご紹介します。

参考
『子どもがひきこもりになりかけたら』上大岡トメ・2015年・ KADOKAWA 

子供の答えを待たずに、先に返事をする

「何を習っているの?」などと子供がほかの人から質問されたとき、子供が答える前に返事をしていませんか? 聞かれたことにすぐに答えないと、相手を待たせているような気持ちになり、ついつい親が子供に代わって回答してしまうのは、よくあることです。しかし、このやり方は子供の自主性を奪います。大人の質問にしっかり答えることは、子供の自信につながるので、親は口を出さずに待ちましょう。

子供の話を聞き流す

忙しいときに話しかけられると、「ごめんね、また後にしてくれる?」と子供の話を聞き流してしまう――。これは誰にでも身に覚えがあることでしょう。しかし、聞き流しは子供にとってプラスに作用しません。子供の呼びかけに毎回手を止めるのは難しいものですが、子供の目を見て話を聞く時間を少しでも増やしましょう。

条件付きでほめたり、承認したりする

「~をしたら、ほめる」は「~しなければ、ほめてもらえない」と同じことです。日常的にはよくある光景ですが、子供にとってはプレッシャーになることも。「いつも頑張っているから、きっとできるよ」という声かけだと、子供は「努力を見ていてくれている!」と力強く受け止めるでしょう。

知力ばかり育てようとする

成績が下がったときに、「塾に行かなきゃダメ」「希望の学校に入れないよ」などと将来の心配ばかりするのは考えものです。子供は成績が下がったことによるショックを少なからず受けています。「どこが分からなかったの?」と、まずはその気持ちに寄り添うことが大切です。

子供を自分の思い通りに育てようとする

子供には子供なりの考え方があります。親が先回りをして、「こっちの方がいい」と勝手に決めてしまうのはやめましょう。自分の意見を言えない子供になってしまう可能性があります。まずは、子供の意見を聴くこと。それが明らかに問題があるようなら、諭して導きましょう。

子供の挑戦を回避させる

挑戦に失敗はつきものです。失敗を恐れるあまり、「やってはダメ」と回避させていては、子供は物事に消極的になってしまうかもしれません。「失敗しても大丈夫」、「頑張って乗り越える」など新しい経験は子供を強くします。

まとめ

引きこもりの原因は複合的なものです。親ができることは、子供が安心できる居場所を提供すること、見守ること、そして親自身が元気でいることです。子供が引きこもりの傾向を見せると、つい「どうしたらいい?」と焦ってしまいますが、自然と回復するというケースも多いようです。「問題だ!」と過剰反応するのではなく、「思春期の特徴のひとつ」であるととらえて、大らかな目で見守ることも大切です。

参考
ひきこもり施策について|厚生労働省
平成27年版 子供・若者白書 第2節 若年無業者,フリーター,ひきこもり|内閣府
ひきこもりによく見られる性格と傾向|関東自立就労支援センター
ひきこもりの子どもにどう対応するか|関東自立就労支援センター
ひきこもりの原因ってなに?どうしたら脱出できるの?家族の接し方、高齢化した場合の対応方法を解説します|LITALICO仕事ナビ

この記事をかいた人

高橋マリ―

元フリーアナウンサー。企業イベントMC、ラジオCMナレーションなどに携わるほか、科学専門番組のMC兼APとして大学教授などを多数取材。結婚後はしばらく専業主婦。のちに地域情報紙の編集・ライターに。夫の転勤で退職し、ドイツで妊娠、出産、保活を経験。関心は幼児教育、ダイエット、時短家事、アンガーマネジメントなど。2児の母。親子バレエサークルの名ばかり代表。現在はライターとして活動中。