引きこもりとは?子供の引きこもりの原因と親ができる5つのこと - cocoiro(ココイロ) - Page 2

引きこもりになりやすい子供の特徴とは?

引きこもりは、子供の性格だけでなく、周囲の状況や本人の体調など、さまざまな要素が組み合わさって起こる結果です。活発な子供も大人しい子供も、誰でもきっかけやタイミング次第で、引きこもりになりえます。

内閣府の調査結果や引きこもりを支援する団体の意見を見る限りでは、引きこもりに比較的多い性格や特徴がいくつかありました。あくまで一例として参考にしてください。

まじめで努力家

物事に真剣に取り組むまじめなタイプの子供は、思うような成果が出なかったとき、大きく打ちのめされることがあります。努力した分だけ、落胆は大きくなるでしょう。「あんなに頑張ったのに」と自分が否定されたような気持ちを長く持ち続けると、引きこもり傾向になりがちです。まじめで努力家な子供は、張りつめていた糸が切れると、どうしてよいか分からなくなることもあります。

感情をあまり外に出さない

感情をあまり外に出さないタイプの子供は、何事も自分1人で抱えてしまうことがあります。学校で嫌なことがあった場合、誰かとシェアすることでスッキリしたり、心が楽になったりするものですが、これを1人で抱え込んでしまうと、負の感情だけが蓄積されていきます。ストレスは適度に解消しなければ、いつか爆発してしまうものです。このタイプの子供は、周囲から感情が見えにくいので、誤解されやすいこともあります。

自意識が強すぎる

他人が自分をどのように思っているのかは、誰でも気になるところです。しかし、過剰に意識しすぎると、「いい人だと思われたい」、「嫌われていないか」など、周囲に対して常に気を張るようになってしまいます。他人のささいな言動に疑心暗鬼になることもあるでしょう。その結果、他人といると落ち着かない気持ちになったり、疲れ切ってしまったりして、引きこもることがあるようです。

自己肯定感が低い

人間は「どうせ自分にはできない」「自分は何をやってもダメ」などと思い込むと、物事に対して消極的になります。自己肯定感が低い子供は、自分に自信がないことが多く、ささいなきっかけやちょっとした失敗で心を閉ざしがちです。心を閉ざしてしまうと、他人との交流を極端に避けるようになります。

自分なりのポリシーや世界観がある

「みんな一緒」という固定意識 が強い日本では、自分なりのポリシーや世界観を持つ子供は、周囲になじめないことが少なからずあります。みんなと一緒に何かをすることに苦痛を感じるほか、周りの雰囲気に嫌気が差すこともあるかもしれません。大人になると、他人を尊重したり、周囲と上手に折り合いをつけたりすることができますが、思春期や青年期の子供にはなかなか難しいもの。柔軟な考え方ができず、自分の殻に閉じこもることがあります。

引きこもりの脱出法とは?親ができる5つのこと


もし子供が引きこもってしまった場合に、親には何ができるのでしょうか。引きこもりの脱出法として有効な5つのことをご紹介します。

期間を決めて見守る

引きこもりの基本的な対応は、「見守ること」と「休ませること」です。精神科医の田村毅先生は自著で以下のような見解を示しています。

思春期は悩みが多い時期です。人とうまくいかないで自信を失ったりして、一時的に人との関わりから撤退したくなることはよくあります。それは思春期の特徴であって、必ずしも問題とは言えません。二週間程度までは、家族は何もせず、そのまま放っておいてかまいません。時期がくれば、本人が自らの気持ちを取り直して学校に行くようになるものです。

(引用元:田村毅(2014年)『ひきこもり脱出支援マニュアル』PHP研究所,P39

家族が見守ることの大切さがお分かりいただけたかと思います。それでは、どれくらいの期間、見守ればよいのでしょうか。田村先生は目安として以下のように書いています。

しかし、その時期が三週間を超えても改善しないようでしたら、放っておかず、対応を考えたほうがよいでしょう。

(引用元:『ひきこもり脱出支援マニュアル』田村毅・2014年・PHP研究所,P39

ただ、子供の様子が明らかに問題がある場合はこの限りではありません。暴れる、自傷行為をするといった場合は、見守るのではなく、適切な対処が必要です。

簡単にまとめると、以下の通りです。

  •  引きこもっても2週間程度は放っておく。家族は何もせず、見守る
  •  引きこもり期間が3週間を超えたら、対応を考える
  •  子供の様子に問題がある場合は、見守りを中止し、適切な対処をする

家庭の中で安心できる環境をつくる

子供が引きこもりの傾向を見せると、心配してついあれこれと世話を焼きたくなったり、励ましの言葉をかけたくなったりしますが、これらは逆効果になる恐れがあります。引きこもりの多くは、ストレスや個人的な問題で疲れて心身ともにクタクタなときに起こります。疲れたときには、リラックスして休むことが回復の近道です。

親が不安をたくさん抱えていると、子どもも不安になり、思春期の困難に立ち向かう意欲が失せてしまいます。親が安心をたくさん持っていれば、子どもにもそれが伝わり、勇気を獲得できます。

(引用元:『ひきこもり脱出支援マニュアル』田村毅・2014年・PHP研究所,P155

家庭内がギスギスしていたり、家族が不安で緊張していたりすると、それは子供にも伝わり、安心して休めません。家族自身が十分にリラックスしている環境を作ることで、子供は安心して心身を整えられるでしょう。

親自身が子供に対する信頼感を持つ

子供が引きこもり始めると、「このままでは大変」、「将来取り返しのつかないことになるのでは?」と不安や焦る気持ちが出てくるものです。しかし、それは同時に子供自身の回復を疑うことでもあります。

「回り道をしても、あなたなら大丈夫」、「傷ついても、失敗しても、あなたなら立ち直れる」と親が子供を信頼することが大切です。このメッセージは言葉では伝わりません。親のまなざしや、対応、接し方で、子供自身が感じ取るものです。偽りのない信頼が必要になります。