『羅生門』の読書感想文を書くときの3つの着眼点と例文の紹介

学校の授業で芥川龍之介の作品を読んだことがある方は多いのではないでしょうか。純文学の新人の登竜門とされる芥川龍之介賞は、多くのベストセラー作品を世に送り出しています。

今回の記事では、そんな芥川龍之介作品の中の代表作といわれる『羅生門』の読書感想文の書き方をご紹介します。なかなか書き出せずに困っている方、書く前に着眼点を持ちたい方の参考になれば幸いです。

『羅生門』のあらすじ

まずは、『羅生門』のあらすじを把握しましょう。作品全体を3つの場面に分けてご紹介します。下人の心情の変化を意識すると感想文を書くときの着眼点を得やすくなります。

羅生門で下人が老婆を見つける

時は、平安時代。天変地異が続き、政治は不安定になり、京都は飢餓で疲弊していました。そんな京都のなかでも、人が近付こうとしなくなっていたのが羅生門です。羅生門の楼閣の上には、身寄りのない人々の遺体がゴロゴロと無造作に置かれている状態でした。

そこに、職を失い、住む場所もない下人が1人、雨の降る夕暮れ時に途方に暮れていました。下人がこれから生きていくには、盗賊になる以外に手段がありません。しかし、下人には盗賊に身を落とす「勇気」がありませんでした。

そんなときに、羅生門の楼閣の上に人の気配を感じます。階段を上り恐る恐る楼の中を覗いてみると、暗闇に灯がゆらゆらと揺れています。よく見ると、そこには老婆がいました。

老婆のしていることのワケ

老婆を見つけた下人は、六分の恐怖と四分の好奇心で老婆のしていることを見ています。老婆は、遺体から髪の毛を1本1本抜いていました。

それを見た下人は、老婆に対する恐怖がなくなり、悪を憎む心が一気に大きくなります。老婆がしていることの理由は分からずとも、雨の夜に羅生門の上で死人の髪の毛を抜くという行為を下人は許せませんでした。

下人は老婆の前に進み出て、力ずくで老婆がしていたことを問いただします。老婆は、死人の毛を抜いて、かつらを作ろうと思っていたことを正直に白状します。そして、ここにいる死人はそれくらいのことをされていい人間ばかりだと説明し、餓死しないためにしていると釈明します。

下人がとった行動

老婆の話を聞いた下人の心に変化が生じます。羅生門の下で途方に暮れていたときにはなかった「勇気」が、盗賊になるという「勇気」が生まれます。

そうして、下人は、老婆の着物をはぎ取り、しがみつく老婆を蹴り倒します。そして下人は夜の闇へと消えていきます。最後の一文は、下記のとおりです。

下人の行方は、誰も知らない。

(引用元:芥川龍之介『芥川龍之介全集〈1〉』筑摩書房

羅生門での出来事を通して、人間の悪を描き出した芥川龍之介の代表作です。ちなみに、最後の一文は何度か書き換えられており、「下人が京都の町へ強盗を働きに行った」という内容で結ばれているものもあります。

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