『火花』の読書感想文を書くときの3つのポイントと例文紹介! - cocoiro(ココイロ)

『火花』は、お笑いコンビ「ピース」のボケ担当、又吉直樹さんによる作品です。2015年に第芥川賞を受賞しており、芥川賞受賞作品の中で最も単行本の発行部数が多く、芸人として初めての受賞となりました。今回の記事では、そんな『火花』の読書感想文の例文を紹介し、書くときのポイントをご紹介します。

読書感想文の例文

ここでは、400字詰めの原稿用紙2枚を想定して、約800文字の例文をご紹介します。構成は、「本との出会い」「神谷に対して感じること」「作品全体を通して考えたこと」の3つでした。

2015年に芥川賞を受賞して話題になった『火花』の存在は、その当時からよく知っていました。しかし、芥川賞というハードルの高さと、ブックカバーの独特な赤いイラストから、実際に手に取るに至るまで4年の歳月が流れました。

読み始めてみると、細かい情景描写に引き込まれ、自分がその場所にいるかのような気持ちになり、一気に読み終えることができました。登場人物の中で、神谷の生き方に強烈な魅力を感じました。作品の最初の場面で、徳永と神谷が居酒屋で話しているときに神谷が放った「つまりな、欲望に対してまっすぐに全力で生きなあかんねん。」という言葉に、心をえぐられる気持ちになりました。果たして自分は、やりたいことに対して、まっすぐに全力で生きているのだろうか?と思わず自問しました。物語を読み進めていくと神谷が漫才師として「まっすぐ全力で生きる」姿が描かれています。

どんなに借金をしても、アルバイトで食いつなぐことはせずに、漫才師としての収入だけで生きていきます。また、後輩芸人には必ずご飯をご馳走する。しかし、最終的には借金で首が回らなくなり姿をくらませることになります。自分が決めたことに対して、周囲の視線や安定した生活には目もくれずにいる神谷の「頑なな強さ」に、自分には真似をすることができないことに対する尊敬の念を感じました。徳永が神谷に弟子入りした気持ちが痛いほどわかります。

作品のタイトルになっている「火花」という言葉は、物語のはじめと終わりを彩っている「花火」よりも小さく、形ないものです。しかし、確かに瞬くように光を放ち、強烈な熱を持ちます。神谷の生き方も徳永の生き方も、「火花」のように一瞬ではあるものの、まっすぐ全力なのです。私も、自分が納得できる形で、まっすぐ全力で生きたいと思います。