うさぎは、なぜ餅をつくのか
うさぎの好物といえば、にんじんなどの野菜を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
しかし、月にいるうさぎは「餅をついている」と言われています。また、餅は先ほどの説話の中にも出てきませんでした。では、なぜ月のうさぎは餅をついているのでしょうか。
一説としては、十五夜の満月を望月(もちづき)と言うため、望月の「もちづき」と「餅つき」をかけて「うさぎが餅をついている」と考えられるようになったと言われています。そのほかにもいくつかの説があるため、ここでは3つの説をご紹介しましょう。
おじいさんのために餅をついているという説
説話の中で、うさぎはお腹を空かせた老人のために何も食料を持ち帰ることができませんでした。そのため、うさぎは月でおじいさんに食べてもらうための餅をついていると考えられているそうです。
中国の伝承が由来となっているという説
一説によると、餅をついているのは中国の伝承が日本に伝わったからであると考えられています。
古代中国では、日本と同じように、月にうさぎが住んでいると言われていました。しかし、中国のうさぎは餅ではなく、不老長寿の仙薬を挽いていると考えられていました。この話が日本に伝わったというのです。
しかし中国とは異なり、日本のうさぎがついているのは餅です。もともと日本において、餅は生命の再生を象徴する特別な食べ物と考えられ、神事などでも供え物などとして使われていました。つまり、日本の餅は中国の仙薬と性質が似ていたため、うさぎは「仙薬を挽く」のではなく、「餅をつく」と考えられたのかもしれないというのです。
お月見の季節の収穫祭が由来になっている
最後にご紹介する説は、「お月見の季節の収穫祭が由来になっている」というものです。
お月見といえば中秋の名月に行うものですが、この中秋の名月の月見は月を愛でる以外にも、「稲の豊作を祈願するお祭りや芋類の収穫祭」(引用元:中秋の名月とは?お月見の由来とお月見に供える物の意味! | ワイドなび)といった意味があると考えられています。稲の豊作を祈願するものであるから、うさぎも餅をついているというわけです。
月のうさぎの正体は何?
そもそも月の模様の正体が何かご存知でしょうか。
「うさぎが餅をついている」ように見える月の模様の正体は、月の海です。もちろん、月には海水がないため、月の海は地球の海とは違うものです。
月の海は、月のマグマが吹き出して固まった玄武岩に覆われた地形で、玄武岩には鉄が多く含まれるため黒っぽく見えます。
明るく見えるところは隕石の衝突などでクレーターが多く表面はデコボコしていますが、月の海はそのようなクレーターを覆う形でマグマが冷え固まった地形のため平坦です。
(引用元:今夜は満月 月のうさぎの正体は? | ウェザーニュース)
これが遠く、地球からはうさぎが餅をついているように見えるのです。