『レインツリーの国』の読書感想文・ポイントはこれ!
『レインツリーの国』の読書感想文を書くときに、注目したいポイントが3つあります。3つのテーマすべてを盛り込んでも、自分の書けそうなテーマを選んでも良いでしょう。これから読み始めるという人は、特にこのポイントに注意しながら読み進めてください。
世間の悪意
この物語の根幹の1つに、障害者に対する世間の悪意というものがあります。
作品の中でひとみはさまざまな嫌がらせを受けています。それは彼女を傷つけようとして行われていること・気づかずに行ってしまっていること双方ありますが、世間の底にある悪意というものに直面せざるを得ないひとみの生きづらさが描かれています。
「もし自分だったらどうするか」という観点で読み進めていくと、世間の悪意に対する伸行の考え方やひとみの処世術が違ったものに見えてくるはずです。
障害者と健常者の恋愛
伸行はひとみが聴覚障害者であることに気づいたとき、さまざまな葛藤をします。
好きな人にこんなに信用されていないことを突きつけられて、ものすごくへこみました。
君を傷つけた償いに、女性として自信を持たせるために健聴者から告白してやろうとか、俺どない人間やねん。いくら何でも君も俺をそこまでバカにする権利があるんか?
(引用元:レインツリーの国(新潮社)|楽天ブックス)
伸行のストレートな表現から、彼の中でどのようにひとみの心を打ち解けさせることができるのかという悩みや、自分の中で障害者に対する優位性がないかなどと自問自答する姿が見て取れます。2人のメールのやりとりの中でメールだからこそ伝えられるお互いの本音が見え隠れしますので、その点に注意して読んでみるのもおすすめです。
言葉の巧みな使い方
『レインツリーの国』では伸行は関西出身という設定になっています。そのため話し言葉もメールでのやりとりもコテコテの関西弁です。
標準語では何となく伝わりにくいニュアンスを、この関西弁で実にうまく表現されていて、言葉の巧みな使い方が光る作風になっています。「この表現を標準語で話したらどうなるんだろう」「相手にはどのくらいのインパクトで伝わるんだろう」という点について考えてみると、『レインツリーの国』が実に計算されて描かれた世界だということが分かります。