読書感想文の書き方とは?子供がどう読んだかが大切
『こころ』を読み進めていくと、メインの題材に恋愛があることが分かります。これに気づけば、思春期の子供たちでも身近な体験に置き換えて読むことができるのではないでしょうか。まずはポイントに沿ってリストアップをしてみましょう。
ポイントに沿ってリストアップしてみよう
おもしろかったところは?
物語の前半は「私」と先生の会話がほとんどを占めており、場合によっては退屈に感じるかもしれません。また、舞台が明治時代なので現代との違いに戸惑うこともあるでしょう。「大学を卒業するのが6月なのが不思議だった」など、細かいことでもいいので、気になったところを書き出してみましょう。
心に残っているところは?
先生の長い遺書は、読者にとってそれなりに心に残る部分です。登場人物に共感できるところ、できないところなどを思い出してみましょう。また、子供によっては「大人になってもこういうことで悩むのか」と不思議に思うこともあるかもしれません。
内容をまったく知らないで読むと、最初は「私」と先生が仲良くなる話だと思うかもしれません。また、途中の両親の話はどんな関係があるんだろうと首をかしげる子供もいるでしょう。
さまざまな先生の発言や出来事がつながって、最後のパートに集約されていく様子は、初読であるからこそ楽しめるところです。ぜひあらすじなどは話さずに子供に読ませてみることをおすすめします。
おもしろくなかったところは?
おもしろくないと感じたところも大切なポイントです。なぜおもしろくないと思ったのかを考えてみると、オリジナルな読書感想文を書くことができるでしょう。
よく分からなかったところは?
「なぜKは自殺したのか」「なぜ先生は自殺したのか」など、登場人物の心象が追いきれないこともあるでしょう。また、明治天皇の崩御や乃木希典の殉死などは、現代の子供にとってはなじみがより薄くなっている出来事です。そのようなこともリストアップして後で調べてみると、作品に対してより理解が深まるでしょう。
どのポイントを中心に読書感想文を書くかを決める
書き出したものをもとに、何を中心にして読書感想文を書くか決めましょう。『こころ』は「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」に分かれています。この3つのうちどれかに絞って書くのもいいでしょう。
また、時系列で先生の心の動きを捉え直してみるなど、作品全体を概観して書くこともできます。『こころ』全体を通してみると、先生の青年期に始まり、明治時代の終わりまで続く長い物語です。
子供にとってはこの時間の流れと先生の心情の変化が体感としてつかめないこともあるかもしれません。分かる範囲で年表などを作ってみると、「先生が結婚してから○年間」など、具体的な感覚として捉えられるでしょう。
まとめ
夏目漱石の『こころ』読書感想文のためのあらすじと書き方を解説しました。人間の心の、普段は目を背けたくなる部分を深く見据えた名作なので、ゆっくりと味わってみてください。
参考
「書くこと」指導への一提言:読書感想文指導を中心に|鈴木恵|新潟大学学術リポジトリ Nuar
読書感想文再考:「感想」文指導で何を指導するか(国語科)|成家 雅史|東京学芸大学リポジトリ