「カラフル」の意味とは
『カラフル』は軽快なタッチで、子供にも大人にもそれぞれ込み入った事情があり、悩みがあり、見た目だけではその人のことは何も分からないのだということを描き出しています。このテーマを描いた本のタイトルにもなっている「カラフル」とはいったいどのようなことなのでしょうか。
それは、黒だと思っていたものが白だった、なんて単純なことではなく、たった一色だと思っていたものがよく見るとじつにいろんな色を秘めていた、という感じに近いかもしれない。
黒もあれば白もある。
赤も青も黄色もある。
明るい色も暗い色も。
きれいな色もみにくい色も。
角度しだいではどんな色だって見えてくる。
(引用元:『カラフル』森絵都 理論社 197ページ)
どんなに身近であっても、他人については限られたことしか知ることができない。見方によって印象というのは大きく変わってくるものだ、という「ぼく」の気づきと「カラフル」という言葉には大きな関わりがあります。1人の人間が持つ多面性を、真の好きな絵になぞらえて言い表した言葉と捉えることができます。
読書感想文の書き方とは?子供がどう読んだかが大切
一読したら、読書感想文を書くための準備をしていきましょう。まずは、漠然と心に残った感想を言葉にしていく作業からです。
ポイントに沿ってリストアップしてみよう
最初から的確に感想をまとめることのできる子供もいますが、多くの子は場面ごとに抱くさまざまな感想を関連付けて記述することに慣れていません。まずはポイントに沿って箇条書きをしてみるといいでしょう。
おもしろかったところは?笑ったところはどこ?
『カラフル』の登場人物はよく冗談を言ったり、予想外の行動をとったりします。「プラプラがフリフリの傘をさしているのがおかしかった」など、些細なことで構いません。楽しめた部分をリストアップしてください。
心に残っているところ、感動したところや好きな登場人物は?
『カラフル』の登場人物は、それぞれみんな違うように描かれています。絵以外はいまいちパッとしない真に、勉強が真よりできる満。仕事人間に見える父親に、飽きっぽくて習い事をすぐに変える母親。若くてかわいいことしか自分に価値を見いだせないひろかに、真はほかの子供たちとは違う特別な人間だと言う唱子。
そのほか、学校の先生やクラスメートなど、それぞれに違った特徴のあるキャラクターが出てきます。登場人物たちに自分を重ね合わせて読めるという子供も多いでしょう。また、それぞれが自分の経験から考えたことを発言する場面では、感動したり勇気をもらったりすることもあるでしょう。
親がいいと思ったところと子供が気に入ったところは必ずしも同じではないかもしれません。まずは子供の思ったままに、気に入った言葉や好きな登場人物をリストアップさせてみましょう。