『君たちはどう生きるか』読書感想文のためのあらすじ・書き方紹介

漫画版も出版され、注目を浴びた吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』。初版からは80年以上たった今も、若者に読ませたい本としてしばしば脚光を浴びます。タイトルは知っていても、実際に読んだことがないという人も多いのではないでしょうか。今回は子供の読書感想文の課題図書にと考えている親向けに、あらすじや書き方について解説します。

『君たちはどう生きるか』登場人物とあらすじ

『君たちはどう生きるか』は、15歳の主人公を中心に織りなされる群像劇です。各章は内容が独立していますが、通して読むと登場人物たちの成長を見届けることができる構成となっています。なお、本記事には岩波文庫版『君たちはどう生きるか』(2002年4月5日第48刷)を使用しています。

登場人物紹介

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まずは登場人物から紹介していきましょう。主人公の家族と同級生が多く出てきますが、中心的な人物を紹介します。

  • コペル君:主人公。旧制中学2年生(15歳)。身長が低いが、成績優秀。たわいないいたずらが好き。コペル君というあだ名はコペルニクスの地動説から叔父さんがつけた。
  • お母さん:コペル君の母。銀行の重役だった夫と死別して、コペル君と一緒に旧東京市の郊外に引っ越した。
  • 叔父さん:お母さんの弟。大学を出たばかりの法学士。コペル君の父親代わりを務める。コペル君にいつか渡す予定の「おじさんのノート」を書いている。
  • 北見君:コペル君の同級生。身長が低く、がっしりとした体形でやや喧嘩っ早い。
  • 水谷君:コペル君の同級生。やや線が細い少年。
  • 浦川君:コペル君の同級生。裕福な家庭育ちのほかの子供たちと違い、豆腐屋の息子で家業を手伝っている。勉強も運動も苦手なためいじめられがち。

あらすじ

『君たちはどう生きるか』を読むためには、まず当時の子供たちの生活について知っておいた方がいいでしょう。この作品が出版されたのは1937年です。当時の義務教育は小学校までで、庶民は小学校を途中で辞めて働きに出ることも少なくありませんでした。

コペル君が通っている旧制中学は現在の高校にあたります。旧制中学を卒業した後、進学できる子供は旧制高校(現在の大学教養課程)・大学・師範学校などに進みました。

また、当時の社会情勢についても把握しておく方が読みやすいかもしれません。当時の日本は1931年の満州事変に始まる15年戦争のちょうど真ん中あたりの時期です。

全体主義が社会に広がっていく中で、子供たちに個人の尊厳や良心について考えてもらいたい、という志のもとに書かれたのが『君たちはどう生きるか』でした。出版直後はよく読まれたようですが、太平洋戦争中は発禁となっています。

それではおおまかなあらすじを紹介していきましょう。コペル君は父親と死別していますが、もともと裕福な家庭生まれです。

同級の生徒は、たいてい、有名な実業家や役人や、大学教授、医者、弁護士などの子供たちでした。

(引用元:吉野源三郎『君たちはどう生きるか』岩波文庫 37ページ)

コペル君が通っている中学は東京市内(現在のおおよそ23特別区内)にあります。当時の日本の中でも、特に社会的にも経済的にも恵まれている家庭の子供たちが中心となって展開されている物語です。

『君たちはどう生きるか』は10の章で構成されています。それぞれ完結したストーリーになっていますが、全体を通じてコペル君の心の成長が描かれています。

この作品の特徴は、出来事や登場人物の心の動きを描いただけではないというところにあります。いくつかの章の終わりには「おじさんのノート」というコーナーが付いています。これは、コペル君から話を聞いた叔父さんが、将来のコペル君に向けて書いた手紙のようなものです。各話の総括や読者に対する問いかけのような内容になっています。

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