省エネや健康面での利点など、扇風機が再評価されてきています。近年は高性能の製品も開発されており、今年の夏、新たに購入を検討している子育て家庭もあるかもしれません。どんな扇風機を選べばいいのか、着目するポイントは? さまざまな角度から、科学の目で検討を加えていきます。
もくじ
【快適な扇風機選び①】DCモーターとACモーター
扇風機を動かすモーターには、従来ACモーターと呼ばれるタイプが使われてきました。一方、最近増えてきているのが、DCモーターを使った扇風機です。これら2種類のモーターには、どういった違いがあるのでしょうか?
DCモーターとは
構造と動く仕組み
モーターとは電力を動力に変換する装置、つまり電気を取り入れて回転という運動に変える装置のこと。ステータという部分が動力の発生装置になり、その動力によって、ステータにはまったロータという部分が回転運動をします。
DCモーターとは、直流モーター(direct-current motor)を意味します。直流とは、常に決まった一定方向に流れ、変化しない電気の流れ方のことで、DCモーターでは取り入れる電気が直流なのです。
DCモーターのステータには磁石が使われていて、中心のロータに電気を流すと、方向性のある力が発生して回転を始めます。これが、DCモーターが動く仕組みです。
特徴
DCモーターには、次のような特徴があります。
- 電流が大きくなると、回転力(トルク)も大きくなる
- 電圧が高くなると、回転速度が速くなる
- ①と②の性質によって回転の制御が行われ、高速から低速まで安定して回転する
どんな扇風機に使われている?
DCモーターの優れている点は③の安定した回転制御にあります。特に、低速でも安定して回転することがポイント。低速回転が可能なので、風量を細かく調節することができ、そよ風のようなやさしい微風も作り出せるのです。
近年開発の進んできた高性能扇風機は、「風の質」にこだわり、当たりの柔らかい風が生まれるよう工夫を凝らしています。DCモーターが採用されるのは、そのためです。
ACモーターとは
構造と動く仕組み
ACモーターは交流モーター(alternating-current motor)のことで、交流の電気が使われます。交流とは、電気の流れる方向が周期的に変化する流れ方のこと。扇風機に使われるACモーターは、中でも誘導モーターと呼ばれる種類のものです。
誘導モーターでは、ステータ部分の磁石が回転することで吸引力を発生させ、それによってロータを回します。実際のモーターでは、磁石が回転する代わりに波形のずれた電流を流して磁力を変化させ、磁石が回るのと同じ効果を出します。
特徴
ACモーターではステータに流す電流の周波数で回転速度が決まるので、DCモーターのように滑らかな回転制御ができません。ですが従来機で広く使われてきた背景には、コンセントから供給される電気が交流のため、直流に変換するプロセスを経ずに直接使えるという利点があります。
どんな扇風機に使われている?
ACモーターが使われるのは、従来型の一般的な扇風機です。DCモーター搭載機のようにきめ細かい風量調節はできず、だいたいの扇風機は「弱・中・強」の3段階調節になっています。弱モードでも、DCモーター搭載機ほどの微風にはなりません。
ただしDCモーター搭載機は高級品のため、ACモーター扇風機の方が価格はリーズナブルです。
参考
家電エキスパートがおすすめする扇風機5選とタイプ別37選|マイナビおすすめナビ