道徳とはより良い人生を生きるための基盤です。しかし、人それぞれに価値観や経験が異なるため、道徳的な考え方は千差万別でしょう。では、子供たちはどのような授業から、どんな道徳観を学ぶのでしょうか。特別教科化される道徳の授業の軸を踏まえて、実践例を見ながら指導のポイントを知りましょう。
道徳科で学ぶ4つの軸
道徳教育とは、教育の中核をなすものなので、学校の教育活動全体を通じて各教科との密接に関わりがある科目です。道徳の授業が特別教科化する目的を、文部科学省は次のように説明しています。
よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うこと
(引用元:小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編(P4 3改訂の要点 (1)第1 目標)|文部科学省)
では、その目標を達成するために道徳の授業では何を学ぶのでしょうか。文部科学省が公表している小学校と中学校の学習指導要領を簡単にまとめました。
A:主として自分自身に関すること
小学校1・2年生 |
- 自分の特長を活かすこと。
- 自分の意思で努力すること。
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小学校3・4年生 |
- 正しいと判断したことに自信を持つこと。
- 安全に気をつけ、節度を持って生活すること。
- 自分の長所を伸ばすこと。
- 目標に向かって努力をし続けること。
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小学校5・6年生 |
- 安全に気をつけ、生活習慣の大切さを理解すること。
- 短所を改め、長所を伸ばすこと。
- より高い目標に向かって不屈の精神で努力し、達成すること。
- 探求心を養うこと。
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中学校1~3年生 |
- 自由と責任について自主的に考えて判断し、誠実に実行すること。
- 自分の安全に気をつけ、調和のある生活をすること。
- 目標に向かって不屈の精神で困難や失敗を乗り越え、着実に遂行すること。
- 探求心を持ち、創造すること。
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B:主として人との関わりに関すること
小学校1・2年生 |
- 親切にすべき身近な人の範囲を広げること。
- 家族や日頃お世話になっている人に感謝すること。
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小学校3・4年生 |
- 自分の意思で家族や年配の方との関わり方を考えること。
- 自分とは違う立場や考え方を理解して受け入れること。
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小学校5・6年生 |
- 家族や現在の生活への感謝の念を深めること。
- 異性についても理解しながら、人間関係を構築すること。
- 自分の考えを持ち、異なる意見や立場を尊重すること。
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中学校1~3年生 |
- 思いやりと感謝の気持ちを持つこと。
- 友情を育て、信頼する心を持つこと。
- 自分の考えを持ち、異なる相手の意見を理解し受け入れること。
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C:主として集団や社会との関わりに関すること
小学校1・2年生 |
- 差別や偏見を持たずに、好き嫌いせず集団や社会に接すること。
- 働くことの良さを実感し、知ること。
- 家族の一員として役に立つこと。
- 国の文化や生活と関わりを深めること。
- 外国の人々や文化に親しむこと。
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小学校3・4年生 |
- 約束や社会の規則の意義を理解し、自分の意思で守ろうとすること。
- 差別や偏見を持たずに、公正公平な態度で接すること。
- 自分と学校の関わり方を考えること。
- 国の伝統や文化を大切にし、愛国心を持つこと。
- 国際親善の心を持つこと。
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小学校5・6年生 |
- 法律や規則の意義を理解し、自分の意思で守ろうとすること。
- 偏見や差別を許さず、公正公平な態度で接すること。
- 奉仕の精神を養い、社会の役に立つこと。
- 友達と協力して、よりよい学校生活の充実に努めること。
- 日本人としての帰属意識を持ち、社会へ関心を持つこと。
- 国際親善の心を持つこと。
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中学校1~3年生 |
- 法律を遵守し、安定した社会の実現に努めること。
- 将来の生き方を深く考え、働くことで社会貢献すること。
- 集団の中での自分の役割を果たし、よりよい学校生活になるよう努めること。
- 自主的に国の伝統や文化を大切にし、社会形成者として新しい文化を創造・発展に貢献すること。
- 国際親善に努めること。
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D:主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること
小学校1・2年生 |
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小学校3・4年生 |
- 命の尊さを知ること。
- 自然の素晴らしさに関心を持つこと。
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小学校5・6年生 |
- 命がかけがえのないものであることを理解し、尊重すること。
- 自然に畏怖の念を覚えること。
- 人間として生きる喜びを感じること。
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中学校1~3年生 |
- 命に限りがあり、受け継がれてきたことを理解すること。
- 自然の崇高さを知り、自然を大切にする意義を理解すること。
- 人間としての強さや気高く生きようとする心があることを理解すること。
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参考
中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編|文部科学省
小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編|文部科学省