おもちゃ選びで大事にしたいこと
具体的に水遊びのおもちゃを選ぶ前に、大事にしたいポイントを整理しましょう。
まずは水そのものを楽しむことから
前出の竹井史氏は、おもちゃを与える前にまず水そのものと触れ合うことを勧めています。
水に触れていく中で好奇心や意欲がどんどん湧いてくるので、おもちゃはそれに合わせて必要だと感じてからあげたほうがよいです。
(引用元:発育にもいい影響が!? 赤ちゃんの水あそびのポイントは?|ベビータウン)
子供にとっては、水面をパチャパチャたたいたり、コップに移し替えたり、スポンジに含ませて絞ったりするだけで十分楽しめるのだそう。おもちゃがなければ遊べない! ということはありません。
何でもおもちゃになるし想定外の使い方で遊びが広がる
大人はつい取扱説明書を読むことから始めてしまいがちですが、子供の遊びが広がり面白さを増すのは、しばしば用途を外れた想定外の使い方からです。
論文『保育環境における想定外の使い方と遊びの発展』は、保育園児の2歳から4歳までの3年間の観察調査を通じて、環境や物の想定外の使い方が何を生みだすのか、以下のようにまとめました。
①面白さ:想定とのズレから、笑いやユーモア、これまでに経験したことのない/少ない面白さが生じる
②遊びの発展:既存の遊びが新たな展開を見せたり、盛り上がったりする ③物と関わる経験:自由な発想で物を扱う、標準的な用途にとらわれず目の前にある物を遊びに生かす ④相互作用のきっかけ:周囲の興味を引き、参加者が生まれ、子供同士の新たな関わりが生まれる |
先行研究の報告では、ニュージーランドの例と比較して、日本の方が想定外の使い方を認める割合が低いのだとか。危険度の高い使い方や重要なルールへの抵触でもない限り、興味を持って子供の発想力を見守りたいものです。
参考
松井愛奈(2017年)『 保育環境における想定外の使い方と遊びの発展-2歳児から4歳児までの3年間の縦断的検討-』保育学研究 Vol.55, No.5
大人が決めた遊びとおもちゃを子供に押し付けない
子どもの権利条約が保障する子供の遊びは、「強制されない、自主的・自発的かつ自由な活動」です。義務的・強制的な遊びやスポーツ、青少年団体への強制的参加は、本質的に遊びであるとは言えません。
子供が遊びに興じているとき、必ずしも大人の決めたルールや与えたおもちゃにのっとっているとは限りません。子供の発想は、大人の想定を軽々と越えていくものです。大人のすべきことは、有害なおもちゃや安全を損なう環境に注意深く目配りしつつ、子供が本来の発想力を発揮して自由に興味を追求できる場を確保し、提供することではないでしょうか。
参考
子どもの権利委員会 第62会期(2013年1月14日~2月1日)一般的意見17号 休息、余暇、遊び、レクリエーション活動、文化的生活および芸術に対する子どもの権利(第31条)