フィンランド教育を日本に取り入れることが難しい3つの理由 - cocoiro(ココイロ)

フィンランド教育を日本に取り入れることが難しい3つの理由

PISA国際学力調査や世界幸福度ランキングにおいて、常に上位にあるフィンランドですが、フィンランドの教育を日本に取り入れることは可能なのでしょうか? この記事では、導入を困難にさせている理由と、フィンランド教育から日本が学べることについてご紹介していきます。

フィンランド教育とは

フィンランドの義務教育は初級教育の6年と中級教育の3年を合わせ、計9年間に渡って行われます。優れた人材の輩出は国の安定や発展をもたらすという考えのもと、教育に特化した政策が組まれています。誰もが平等に学べる環境が整えられ、公立の学校では大学卒業まで無料で授業を受けることができます。

特記すべきはその教育方法で、子供の個性を重んじ、自ら目指す目的に向かい、主体的に学んでいくようなやり方をとります。教師が一方的に知識を教え込むことはしません。代わりに、子供が自ら考えた方法で問題の解決をしていけるような働きかけをしていきます。そのような教育方法で自立した人格の成長を促していくのです。人間形成において素晴らしいフィンランドの教育ですが、日本に導入するためにはいくつかの難問があります。この記事では、導入が難しい理由についてご説明していきます。

世界が注目するフィンランド教育!学力世界一が実現した理由

フィンランド教育は日本に取り入れられるか?

個を生かす教育は子供の将来に必要ではありますが、実際日本で実践するためにはいくつかの難題をパスしなくてはなりません。その問題についてみていきましょう。

日本より税率が高い

高度で充実した教育を保証するためには多くの資金を必要とします。
当然、一般市民に課せられる税金は高くなり、フィンランドの消費税率はなんと24%、日本の3倍にもなります。日本では、それだけの税金を徴収することは現実的ではないでしょう。

ノウハウや理解のある教員がいない

日本では教師主導による一斉教育が主流です。集団に対しての学習指導の研究は蓄積され、実践できる優秀な人材も多くいますが、個に対応した指導についてはあまり得意とはしていません。特別支援が必要な児童についての個別指導はありますが、クラス全員の子供の個性に合わせて行う教育技術とは異なるものです。個を生かす教育の大切を理解していながらも、実践できるノウハウがないので、実行が難しいと考えられています。

既存の価値観からの脱却が求められる

戦後、日本では優秀な労働人口を増やすために教育制度が整えられてきた歴史があり、主に企業で活躍するために学校に入ることが重要視されてきました。いつしか学歴が人を評価する大きな指標となり、さまざまな場面で重視されるようになりました。それは現在も根強く残っているため、どんな学校を出るかより、どのように生きていきたいかに重点を置くような考え方は、やはり浸透しにくいでしょう。

また、時間に厳しい感覚をもつ日本人は、子供の成長をのんびり待つことをあまり得意とはしていません。そのため、個の習得進度に合わせるような学習形態は馴染みにくいかもしれません。