寒い時のプール使用にはどんなリスクがあるの?
低温と体への危険について、もう少し詳しく見てみましょう。
体の熱が奪われる低体温症とその症状
体の深部の熱が低下する症状を、低体温症と呼びます。低体温症と診断される深部体温の目安は、35℃以下です。
深部体温の低下度合いによって、軽度低体温(35~32℃)、中等度低体温(32~28℃)、高度低体温(28℃以下)と状態は悪化。体の中では、激しい震えから筋肉の硬直へ、思考がぼんやりとしてやがて昏睡状態へ、せわしい呼吸や頻脈が徐々に途切れがちになり、呼吸停止・心停止へ、という変化が起こります。
低体温症は、体温が奪われたり、熱を作る、調節するといった体の機能が低下したりといった状態で起こりやすくなります。健康な人でもその状態に陥るのが、山での遭難や水難事故といったケースです。プールもまた、低体温症が発生するリスクがあります。
参考
水温と体温流出時間の関係
先ほど挙げたアメリカ沿岸警備隊による水温と生存可能性の表を、もう一度見てみましょう。水温が低くなるほど、水中にいて意識を保ち、生存していられる時間が短くなることが分かります。
(参照元:Hypothermia kills: These tips can save your life|OFFICIAL BLOG OF THE 9TH COAST GUARD DISTRICT)
アメリカ沿岸警備隊は、助かるためのコツとして、次の6点を挙げています。
| ・Stay calm(静かにしている) ・Save your Energy(体力を温存する) ・Don’t take off your clothes(衣服を脱がない) ・Devote all your efforts to getting out of the water(浮いた板の上に乗るなど、何とかして水の外に出る) ・Don’t try to swim(泳ごうとしない) ・Huddle together as a group(他の人が一緒なら、固まって集まる) |
ポイントは、とにかく体力と体温を温存することにあるようです。
参考
Hypothermia kills: These tips can save your life|OFFICIAL BLOG OF THE 9TH COAST GUARD DISTRICT
低体温症になった時の対処法
低体温症になってしまった時の対処の基本は、体の外側と内側の両方から温めることです。
体ががたがたと震え、歯がカチカチと鳴っているような状態は、低体温症の初期にあります。この場合は、乾いた温かい衣類に着替えさせ、毛布などで包み、熱い飲みものを飲ませて回復を図ります。
さらに症状が進み意識不明の状態にあるような時は、乾いた温かい毛布に包み、救急車の手配をして、温度の高い場所で待機します。病院以外での心肺蘇生は推奨されていません。また重度の低体温症の人を突然揺さぶると、不整脈を誘発し死亡に至る恐れがあるため、そっと扱わなければなりません。
参考





