学級崩壊はなぜ起こる?学級崩壊を防ぐために親ができること - cocoiro(ココイロ) - Page 2

学級崩壊はなぜ起こるのか?

学級崩壊

授業が成立しなくなり、教育が進めることが難しくなってしまう学級崩壊は子供たちにとって良い状態とは決して言えません。学級崩壊はなぜ起こってしまうのでしょうか。

新しい環境や成長に子供が適応できない

学級崩壊の要因の1つとして、子供たちが新しい環境や自身の成長に適応できていないことが挙げられます。

雑誌「発達心理学研究」に2012年掲載に掲載された「小学校における児童の学級への適応感と学校生活との関連 : 小学生用学級適応感尺度の作成と学級別の検討」によると、児童の学級への適応感と「友人との閧係」が強く関連する学級もあれば、「教師との関係」が強く関連する学級もあるとされています。担任が変わったりクラス替えがあるタイミングなどで、子供たちが環境に適応できていないと、学級崩壊が起こる可能性があるようです。

その典型例がいわゆる「小1プロブレム」と呼ばれる問題です。幼稚園や保育所から小学校へ入学した際に、環境の変化になじめない子供が出てくる問題のことを指します。ただし、これも埼玉県教育委員会が1999〜2001年に実施した調査結果で、小学1年生よりも学年が上がった小学6年生のほうが「学級がうまく機能しない状況」となっているデータがあります。

(参照元:学級運営等の改善を図るための指導事例集|埼玉県教育委員会

小学6年生で学級崩壊が多くなる理由について、2015年の「明星大学研究紀要」に掲載された「学級崩壊の社会学 : ミクロ要因とマクロ要因の実証的検討」によると、小学校6年生になると学力格差が顕在化し、同時期に思春期(第2反抗期)が訪れるためではないかと考察しています。

親の大学進学率の高まりと教員の地位低下

文部科学統計要覧(平成30年版)によると、大学(学部)への進学者数は調査が開始された1955年には9万1,165名でした。しかしその後右肩上がりの傾向が続き、2015年には52万8,686名と、調査開始時の約6倍となっています。

参考

文部科学統計要覧(平成30年版),7.高等学校|文部科学省

大学進学率の高まりとともに親世代も大卒者が多くなり、教員への「知識人」としての尊敬の心が失われつつあるようです。そのため親から教員への尊敬心が低くなり、その影響を受けて子供から教員への尊敬も低下したことが原因で、教員の指示に従う子供が減ってしまったことが学級崩壊へとつながっているようです。

参考

学級崩壊の社会学 : ミクロ要因とマクロ要因の実証的検討|明星大学研究紀要

情報化社会による学校教育への興味関心の希薄化

総務省が出している「通信利用動向調査」の2017年の結果によると、インターネットの個人利用状況は2001年は46.3%でしたが、最新の2017年には80.9%まで伸びています。「学校で教えてもらわなくても、インターネットで調べれば何でも分かる情報化社会が、授業などで学ぶ内容への興味や関心を薄れさせているのではないかとしています。

この仮説を検証するため、明星大学研究紀要による「学級崩壊の社会学 : ミクロ要因とマクロ要因の実証的検討」ではタブレット保有率と学級崩壊傾向の関係を分析しています。

(参照元:学級崩壊の社会学 : ミクロ要因とマクロ要因の実証的検討|明星大学研究紀要

これによると、タブレットが普及している都道府県ほど学級崩壊になりやすい傾向にありました。タブレットが学級崩壊を招くわけではありませんが、情報を手に入れやすい環境があるほど、学級崩壊は起こりやすいのかもしれません。

参考

平成29年通信利用動向調査の結果(概要),P1|総務省