夏休みに開かれることが多い臨海学校。初めて聞いたという人もいれば、自分が子供のころは林間学校だった、という人もいるのではないでしょうか。臨海学校とは何か、どのような目的があって実施されているのか、解説します。
もくじ
臨海学校とは
海の近くの施設に宿泊する臨海学校。なんとなくキャンプのようなものだ、という印象があるかもしれません。学校行事としては、どのような位置付けになっているのでしょうか。
体験学習の一つで校外で宿泊するもののこと
一般的に、臨海学校は体験学習の一環として実施されています。自然と親しみ、自分達でさまざまな作業を行うことにより、普段の学校生活ではできない体験をすることを目指しています。
日本では大正のころから始まった
日本で臨海学校が始まったのは大正14(1925)年、私立成城中学校が開いたのが最初だと言われています。成城中学校は、現在でも中学1年生を対象に毎年臨海学校を実施しています。
参考
臨海学校の教育的な狙い
現在の学習指導要領では「特別活動」の一部と位置付けられている臨海学校。学校教育の一環として行うため、いくつかの教育的な狙いがあります。
集団生活の中で協調性・自律性をはぐくむ
学校は朝から午後まで集団で過ごしますが、寝泊まりまで含めた集団生活は子供たちに一味違った成長をもたらすようです。
一般に、人間関係の問題や生理的な欲求(食べる、寝る、排泄する等)を我慢できるのは2泊程度までで、3泊目頃から生活環境の違いや一定の人間関係の摩擦に耐えられなくなり、時には友人と衝突したり、ホームシックにかかることが多いと言われている。
(引用元:1.1.体験活動の教育的意義 | 文部科学省 )
それまで経験したことのない種類の混乱や対立を、自分たちで乗り越えることが期待されています。
「知」を総合化し、課題発見能力や問題解決能力を高める
臨海学校では、自分たちで調理を行い食事を作るという時間もあります。料理というと家庭科と考えがちですが、沸騰や焦げ(炭化)などは、実は理科の勉強とも関係があります。
それまで授業などで培った知識を、実際に生活していく上でどうやって生かしていくのか。臨海学校は、そういった「生きる力」とも言える能力を身につけていくための一助となると期待されているようです。
学びの意欲を促進する
臨海学校では海岸の生物を観察したり、漁業の見学をしたり、水族館を訪れたりといった体験をすることもあります。普段と違う学習の機会が多くあるので、学ぶことに対する意欲の向上が期待できます。
幅広い年齢層との多様な交流の機会を得る
学校によっては、複数学年で臨海学校に出かけたりすることもあるようです。また、宿泊先や体験先のスタッフなどの大人とも交流する機会があります。普段の学校では交流しない人たちと親交を深めながら、新しい体験をする狙いがあります。