1990年代から有名になった「学級崩壊」という単語。ニュースなどで聞いたり、周囲で話題になったことがあったりする人も多いのではないでしょうか。言葉の雰囲気から、「クラスがうまくいかなくなる」という印象のある言葉ですが、学校の現場ではどのように捉えられているのでしょうか。
もくじ
学級崩壊とは?
「学級崩壊」という言葉は主にマスメディアで使われ、1990年代後半から有名になっていったと考えらえています。学校教育の現場では、この学級崩壊という言葉の代わりに「学級がうまく機能しない状況」という言葉が使われていることが多いようです。
学級崩壊=学級がうまく機能しない状況は、具体的には以下のような状況が含まれます。
- 子供が教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わない
- 授業が成立しない
- 授業が始まっても子供が教室内に入らない
- 上記の状態が一定期間継続する
- 担任による通常の手法では問題解決ができない
つまり、何か興奮するような出来事があって一時的に子供たちが大騒ぎしても、それは学級崩壊とはなりません。担任が静止しても聞かず、授業ができない状態が一定期間続くと学級崩壊と呼ばれると考えていいでしょう。
参考
学級崩壊の事例1
理解を深めるため、実際にあった学級崩壊の事例を見ていきましょう。
- 授業が成立しない学級が学校に複数
- 授業中に抜け出す子供が多い
- ガラス・水道・消火栓など学校の備品が壊される
- 子供・教師に対して暴力を振るう子供がいる
- 喫煙する子供がいる
- 生徒指導が忙しすぎて教師が授業準備をできない
上記は論文「学校づくりにおける校長のリーダーシップに関する事例研究(2) ~「割れ窓」理論の視点から ~ | 三重大学学術機関リポジトリ研究教育成果コレクション」で紹介されている「A小学校」の学級崩壊の状態です。授業が成立しないのはもちろん、いわゆる「非行」の問題も大きく、学校全体が機能していない状態だったのがわかります。
この小学校に赴任してきた校長は、学校全体がなんとなく汚らしく見えることに着目します。自ら音頭をとって清掃を行い、備品が壊されても根気よく直すということを続けていった結果、学校が少しずつきれいになってきました。
合わせて教職員とのモチベーションのすり合わせ・意識改革も入念に行いました。それまで生徒指導を優先しておざなりになっていた授業を、何よりも大切にするという姿勢を徹底したそうです。小さなところから少しずつ変えていくことにより、最終的に学校全体の落ち着きが少しずつ取り戻されていったそうです。