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子供に教育費をかけすぎたあまりに、家計が逼迫してしまう「教育費貧乏」。その危険が指摘されるようになってきました。教育費貧乏の怖いところは、経済的に余裕のある家庭でも起きてしまうことと、いざその事態に直面するまで気づきにくいこと。教育費貧乏はなぜ起こるのでしょうか、そしてその影響はどこに向かうのでしょうか。背景を探り、教育費貧乏にならないための心構えを考えます。
教育費貧乏の起こる背景①:私立と公立の学費差
教育費貧乏の起こる背景には何があるのか、見ていきましょう。ひとつめは、教育費自体の負担の大きさです。
私立と公立では2~5倍の学費差がある
教育費貧乏の起こる背景にはまず、私立学校を選んだ場合と公立学校を選んだ場合の学費差があります。次の表を見てみましょう。私立と公立では、学費に約2~5倍の差があることが分かります。「子供に私立教育を受けさせたい」という希望を優先して学費をあまり考慮せずに私立を選ぶと、結果的に費用が大きくかさんでしまうのです。
※就学前は幼稚園に通った場合のデータ
※all公立は国公立大学、all私立は私立理系大学、それ以外は私立文系大学に進学したものとして作成
(出典:文部科学省『平成28年度子供の学習費調査』より作表、千円未満は四捨五入)
学費のボリュームが最もかさむのは私立小の6年間
次のグラフを見ると、私立から小学校に通わせた場合の6年間が、学費のボリュームが最もかさむということがよく分かります。私立は公立と比べて単年度でも学費が高いのですが、6年間をトータルした時、相当に大きなボリュームになるのです。
(上記の表より作図)
教育費貧乏の起こる背景②:支出と教育費上昇のタイムラグ
次に指摘できるのは、教育費の不足に気付くのが遅れることにより、いきなり教育費貧乏に直面してしまう問題です。
大きな教育費が発生するのは大学入学時と小学校受験
教育費貧乏に気づきにくいのは、教育費を支出する期間と一時的に教育費が上昇する時期に、タイムラグが発生するからです。次の進路別の学費発生のグラフを見てみましょう。
(上記の表より作図)
どの進路を選んだ場合でも、大学入学時に教育費の山場がやってきます。私立小学校を受験する場合には、小学校1年生のタイミングでも。親はこのタイミングで、大きな教育費支出を覚悟しなければなりません。
遅いタイミングでやってくるので予兆に気付きにくい
先に「私立小学校の学費ボリュームが最も多い」ことを指摘しましたが、この年次変化のグラフを見ると、小学校在学中の教育費支出は、横のボリュームはあるものの比較的なだらかだと感じないでしょうか。
リアルタイムの収入で私立小学校の学費が十分まかなえていれば、教育費貧乏は実感しにくいものです。しかしこの時期に将来の学費を貯めることができず、現在の教育費支出に費やしていると、教育費が上昇するタイミングがやってきた時に、初めて不足に気づくことになってしまいます。