お盆にナスやきゅうりを飾るのはなぜ?地域や宗派による違いも解説 - cocoiro(ココイロ)

お盆に、ナスやきゅうりを飾り物にしている光景をよく目にするかもしれません。ナスやきゅうりを飾り物しているのには、ある理由や意味合いが込められています。また、地域や宗派による違いも大きくなっています。そこで今回、お盆に飾るナスやきゅうりについて詳しく解説します。

お盆にナスやきゅうりを飾る理由

精霊馬(しょうりょううま)として飾る

精霊馬は、お盆にご先祖様が浄土から地上に移動するための乗り物と考えられています。迎え火を起こしてご先祖様を迎える13日には、馬を表すきゅうりで移動します。一方で、送り火を起こしてご先祖様を見送る16日には、牛を表すナスで移動します。精霊馬は、ナスときゅうりという野菜で作られます。なぜこの2つの野菜が選ばれているのかには諸説ありますが、最も有力な説は「ナスときゅうりは夏野菜として、お盆の時期に収穫しやすかったから」です。また、農作物への感謝を表していたとも考えられています。

きゅうりに込めた意味

地上に戻られるご先祖様がすぐに自分の家の場所が分かり、いち早く降りて来てもらうために、足の速い馬に見立てています。

ナスに込めた意味

16日まで自宅でゆっくりと過ごしてもらった後には、また地上から浄土へと戻っていきます。別れの名残惜しさから、せめてゆっくりと帰ってもらうために、ナスで牛を表しています。歩みの遅い牛のように、少しでも長い時間、地上にとどまってほしいとの思いが込められています。また、お供え物をたくさん浄土に持って帰ってもらうために、荷物を多く運べる牛を選んでいるという意味もあります。

精霊馬の飾り方

ご先祖様を迎え入れるときには精霊馬を内向きに飾り、ご先祖様を見送るときには精霊馬を外向きに飾ります。お盆は旧暦の7月15日、立秋後最初の満月の日にあたります。明治以降には太陽暦を使うようになり、政府の方針で新暦の7月15日がお盆になりました。しかし、現在8月15日をお盆と考える地方が多いようです。太陽暦の7月15日は、梅雨が終わって夏に切り替わる時期。ホオズキやキキョウなど、お盆の墓参りで供える植物がなかったことも8月15日へ移行した理由の1つと考えられています。つまり地方や地域によって、新暦の7月15日、8月15日、旧暦の7月15日という3つの時期をお盆としているようです。