お供え物の贈り方マナー
のしの書き方
仏事では、四十九日まで薄墨を使って表書きをすることがマナーとなっています。ただ、お盆の供え物に掛けるのしに薄墨は使いません。表書きでは、上段に「御仏前」「御供物」「御供」など、下段に贈り主の氏名を書き込みます。
なお、贈り主の名前を薄墨で書く必要はありません。もし夫婦などで連盟にする場合には、中央部分にご主人の名前をフルネームで書き、左隣に奥さんの名前だけを書き入れます。
水引を選ぶ方法
仏事の一つであるお盆では、「黒白」か「双銀」の水引を選ぶのが一般的です。また、地域差もあり、関西では黄白や青白の水引を使うこともあります。一方で関東では三回忌まで黄白の水引を使ってはならないとされているようです。地域特有の決まりもあるため、その地域に住んでいる方や葬儀社に確認しておくといいでしょう。
水引の結うときは、「結びきり」を使います。「結びきり」は、結婚や弔事などで二度繰り返さないことを願って選ばれます。水引は、3本から10本までに分かれています。基本的には奇数。本数の多いほど、格が高くなりますが、お盆のお供え物では、5本の水引を使うのが一般的です。
のしのかけ方
お盆では、模様の印刷されている「のし」を基本的に使いません。のしのかけ方は「内のし」と「外のし」に分けられます。「のし」のかけ方自体には、明確な決まりはありません。ただ、気になるようであれば、注文時にお店に確認を取りましょう。
内のしは、包装紙の内側にかけるのし紙です。もし、お盆に行くことができず、直接ではなく郵送でお供え物を渡す場合には、内のしを使います。外のしでは、包装紙の外側にのし紙をかけます。郵送ではなく、お盆に直接お供え物を渡せる場合に選びます。
お供え物の贈り方・渡し方
直接渡す場合には、現金なら袱紗(ふくさ)に包み、品物なら風呂敷に包んで持っていき、仏前でそこから取り出します。お仏壇に上げるときには、お供え物をお参り側から見て正面になるよう差し出します。お供え物を置く際には、ほかのお供え物を置いている場合に、上に積み上げるのではなく、空いた場所に置きます。
もし、自分が仏壇に供えるのではなく、相手方に手渡す場合には、片手ではなく、両手を添えて渡しましょう。相手に渡す場合にはお供え物が相手から見て正面になるようにして渡します。また、渡すタイミングとしては、基本的にお仏壇に手を合わせる前にしましょう。相手方の施主に一言あいさつしてからお供え物を手渡します。
一方で、お供え物を郵送する場合には、贈るタイミングが重要です。時期としては、相手方の手元にお盆入りの前日までに届いていることが望ましいでしょう。そこに間に合わせるためには、8月10日前後を目安に送っておくといいでしょう。ただし、相手方との距離が遠かったり、離島だったりする場合には、さらに2~3日余裕を持って届けましょう。
また、お供え物を送る際に、メッセージを添えると印象が良くなります。故人をしのぶメッセージを手紙やメッセージカードに書いて送ると、心が伝わります。
お供え物のお返し
お盆にお供え物を受け取った場合、どういったお返しをすればいいのでしょうか。お返しなら何でもいい、というわけではなく、なるべく使ってなくなる消耗品がベスト。例えば、調味料や洗剤などの日用品は、毎日使えて人気が高く、受け取った側も困りません。また、素麺やゼリー、ようかんなどの食品も夏の時期に合っているためおすすめです。
返礼品を送る際ののしは、「内のし」「外のし」どちらを選んでも問題ありませんが、基本的には「内のし」がおすすめです。慶事とは違って、弔事は代替的に行うものではないため、控えめに内のしをかけておくことが大切です。のしには、「志」や「粗供養」など、また初盆や新盆なら「初盆志」や「初盆」、「新盆志」と書くことが多いようです。
終わりに
知らないと気づかないうちにタブーをおかしてしまう可能性もあるのが、お盆のお供え物です。事前に知っておくだけでも、お盆に向けた準備が楽になります。また、子供にお盆の供え物について礼儀作法を教えておくと、将来知らずに恥をかくこともないでしょう。
親がやり方の手本を見せて、子供に礼儀作法を教えてあげてはいかがでしょうか。伝統文化を学ぶと同時に、ご先祖様に感謝する心を養うきっかけにもなりそうです。
参考
お盆には何をお供えすればいい?お供えのマナーやお返しの方法も解説|終活ネット