願い事の書き方のコツ
次に、七夕で願い事を書く際に踏まえておくといいコツについてご紹介します。書けば願い事が叶うといったようなものではありませんが、七夕をより深く知り、楽しむのにお役立ていただければ幸いです。
短冊の色を意識する
七夕の歌「たなばたさま」の歌詞に「ごしきのたんざく わたしがかいた」と出てくることからも分かるように、笹に吊るす短冊の色の数は5つ(五色)です。
この5つの色それぞれに意味があることをご存じでしょうか。その由来について説明します。
短冊に使われている5つの色(五色)は中国の陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)に由来します。陰陽五行説とは、この世界に存在するあらゆるものは「陰と陽」の相反する2つの性質を持ち、「木・火・土・金・水」の5つの要素(五行)で成り立っているとする考えです。五行にはそれぞれ色が当てられ、「木=青(または緑)、火=赤、土=黄、金=白、水=黒(または紫)」とされています。短冊に使われているのはこの「青(緑)・赤・黄・金・黒(紫)」の五色です。
五行は色の他にも方角(五方)や季節(五時)、人間の感覚器官(五官)などさまざまなものに対応しており、その中の一つが人の持つ五つの徳を表す「五徳」です。五徳(五常)は、仁・義・礼・智・信のことを指し、仁は思いやりの心、義は規律や正義、礼は礼儀、智は知性、信は誠実などを意味します。
五徳と五色は以下のように対応しています。
・仁=赤
・義=黄
・礼=青(緑)
・智=白
・信=黒(紫)
これらの色の意味を意識して短冊に願い事を書いてみましょう。
思いやりの心を育みたいなら赤(仁)の短冊、正義を貫く人を目指すなら黄色(義)の短冊、礼儀を重んじるのであれば青(礼)の短冊、知性や知識を深めたいなら白(智)の短冊、誠実さを求めるなら黒(信)の短冊といった具合です。
これらの意味を考慮した上で、お子さんと話し合って短冊の色を選んでみてください。より深く七夕の楽しさを味わえるかもしれません。
七夕の伝統を踏まえる
七夕の伝統を踏まえた上で、短冊に書く願い事を決めるのもいいでしょう。
先述したように、七夕は江戸時代に寺子屋を中心にして庶民の間に広まりました。当時の子供たちは習字や習い事の上達を祈って、短冊や梶の葉に願い事を書いたといいます。このような伝統を踏まえるならば、「何かが欲しい」とか「宝くじが当たりますように」といった「欲」に根ざした願望ではなく、ピアノや水泳などの習い事や学業の向上を願うのが道理にかなっていると言えるでしょう。
江戸時代には、「天の川」や「織姫」に関連した絵や和歌などを書くこともありました。これら七夕にちなんだ言葉を使って願い事を書くというのもおすすめです。
また、短冊の五色や吹き流しには魔除けの意味が込められており、これらを飾る笹は悪を寄せ付けない神聖なものと考えられてきました。家内安全、無病息災を願うのも七夕の伝統に根ざしていると言うことができます。
子供は年齢に応じた書き方を
先ほど、伝統を踏まえた書き方をご紹介しましたが、子供たちの願い事についてはそこまで厳密に考える必要はありません。子供たちの気持ちや個性を尊重するのが一番です。
まだ文字が書けないお子さんの場合は、絵を描くのもいいでしょうし、殴り書きでもかまいません。1、2歳のお子さんでシール貼りが好きな子なら、星や笹の葉のシールで短冊をデコレーションして楽しむのもおすすめです。
ひらがなが書けるようになったら、願い事を書くことに挑戦しましょう。解読不能な文章になっていたとしても、お子さん自身が思いを込めて書いたのであれば立派な願い事になります。