子供がテレビやゲームに夢中になっているのを見ていると、「目が悪くならないかな?」と心配になる親はたくさんいると思います。子供の視力は一度悪くなってしまっても、回復させることはできるのでしょうか?
この記事では子供がなりやすい「近視」とはどのような症状なのか、視力の悪い子供の現状と近視による視力低下を防ぐ方法、さらに視力が低下してしまったときにできる治療方法についてご紹介します。
もくじ
そもそも「近視」とは?
子供の視力が低下する原因として多い「近視」という状態は、一体どのような症状なのでしょうか。近視がどのようなものなのか、なってしまう原因と日本の子供の現状を解説します。
子供がなりやすい「近視」とはどんな症状?
子供がなってしまいやすい「近視」という症状は、人間の目がものを見るときにピントを合わせる作業が通常行われる場所よりも前で行われてしまう状態を指します。
通常、人間の目はカメラと同じような構造となっており、カメラのレンズが水晶体、フィルムが網膜に相当します。目は水晶体が厚みを変えることによって、無意識のうちに見たいものに合わせて鮮明になるようピントを合わせています。
このピントが網膜できちんと合う状態であればいいのですが、ピントが網膜よりも前で合ってしまう状態を「近視」といいます。ちなみに、網膜の後ろでピントが合う状態は「遠視」といわれます。
近視になってしまう原因
なぜ近視になってしまうのでしょうか。近視を引き起こす主な原因は、眼軸長といって目の前後方向の長さが伸びてしまうことが影響しています。これを「軸性近視」といいます。軸性近視は遺伝することがあり、両親が近視だと子供も近視になりやすいようです。また軸性近視の原因である伸びてしまった眼軸長を短くする方法はまだ見つかっていません。つまり治療ができないのです。
さらに、レンズの役割を果たしている水晶体が原因で近視になることもあります。こちらは「屈折性近視」といいます。近くのものを見るときには水晶体が膨らみますが、近くを見続けることで水晶体が膨らんだ状態になってしまい、一時的に視力が低下する状態です。一時的なものなので、目薬などで水晶体の膨らみが取れれば視力は元に戻ります。
子供の視力1.0未満割合が過去最悪となっている
実は今、視力が1.0未満の子供の割合が過去最多の数となっているようです。文部科学省が毎年行っている「学校保健統計調査の平成30年度(確定値)の結果の概要」によると、各学校のカテゴリーで視力1.0未満の子供の数は下記の通りとなっています。
学校種 | 視力1.0未満の子供の割合 |
幼稚園 | 26.68% |
小学校 | 34.10% |
中学校 | 56.04% |
高等学校 | 67.23% |
加齢に伴い視力の悪い子供は増えており、どの学校種でも統計を取り始めた1979年度以降から増加傾向にあるそうです。文部科学省は子供の視力低下の原因について、下記の通り述べています。
「スマートフォンの普及や携帯ゲームの人気などで、子供が近くで物を見る時間が増えていることが背景にあるのではないか」
(引用元:視力1.0未満割合が最悪、高校生67% 虫歯と肥満は減少|日本経済新聞)
遺伝が要因の軸性近視ではなくても、「物を近くで見る」という行為を長時間続けてしまうことは、やはり子供たちの視力に何らかの影響を及ぼしているようです。